2019年3月25日(月)

▼公正証書遺言を作成して遺産執行者の指定を受けた松阪市の弁護士が、依頼人の死後約2年間、遺産相続人に連絡しなかったとして三重弁護士会から戒告の懲戒処分を受けた

▼戒告、業務停止、退会命令、除名の懲戒のうち最も軽い処分だが、実名を公表したのは全国の多くの弁護士会の中では英断らしい。戒告も3回目というから、三重弁護士会も何か新味を出さねば権威に関わろう

▼自分を遺産相続人とする公正証書遺言を作成した津市の弁護士が、遺族から訴えられたことがある。民事訴訟の定番として匿名で報じたが、別の津市の弁護士から抗議を受けた。問題の弁護士は開店休業状態で、年齢の近い現役は自分だけ。裁判所で白い目を向けられ、顧問契約の解除が続いたというのだ

▼プライバシー保護の思わぬ飛び火に考えさせられた。名を伏せ住所、年齢を表示しことが、逆にそれに該当する数少ない別の人物へ疑いを向けさせてしまった。公的立場の人の匿名報道は時に被害を拡大させもする

▼県立四日市工の元万引教諭の場合、1月の逮捕時は校名は伏せられた。直後の教育長の謝罪会見でも校名に触れていない。2カ月後の処分発表で校名が明らかになった。謝罪会見で旅費の不正受給をしていた県立かがやき特別支援学校校長とともに処分を検討するとしたが、校長はまだ。信賞必罰の間が抜けている

▼わいせつ教員も被害生徒、保護者の意向を理由に一切の情報を伏せる。強姦、強制わいせつ罪の親告罪規定が削除された。配慮は必要だが、何でも隠せばいいという姿勢は、悪質な犯罪も隠しかねない。