2019年3月16日(土)

▼昨年8月、県立高一年の男子生徒が自殺した問題を調べていた県いじめ対策審議会が、卒業生を除く全校生徒を対象にアンケート調査をして自殺の経緯、いじめの有無を調べる方向という

▼遺族や生徒の担任から聞き取った審議会の尾高健太郎会長がいじめの有無について「現時点ではどちらとも認定できない」。いじめの調査は被害者だけでなく、加害者のプライバシーにも配慮しなければならない。確実だと判明するまで発言には慎重にならざるを得ないことだが、本音のような気はする

▼一昨年度のいじめ認知件数を前年度比減で発表し、数日後に昨年度4―9月期分は条例制定効果で過去最多だったという。県教委のいじめ対策は不安定だが、いじめ問題を初めて議題にした28年1月の県総合教育会議で、専門的・実践的な立場から助言・提案等を受けるために県教委が委嘱した貝ノ瀬滋特別顧問は、いじめがあるかどうかは子どもが一番よく知っているとして「起きた時に取るのではなく、定期的にアンケートを取ればいいわけです。そんなに難しことではない」と言い切った

▼男子生徒の自殺では、1カ月前の無記名のいじめのアンケートや個人面談で、県教委はいじめが確認できなかった。無料通信アプリ・LINEの他の生徒とのやりとりを見て、遺族がいじめの可能性を学校に申し出て、県教委が「重大事態」に認定した。審議会主導で事後アンケートに決め手を求める。対策が万事、あなた任せの気がしなくもない

▼いじめ根絶ではなく、いじめ発生にどう対応するかに力を集中しなければなるまい。