2019年3月15日(金)

▼通行人に無作為でインタビューするテレビの番組で、20歳直前の2人連れの男性に彼女が欲しいかを聞いていた。「欲しいとは思わない」という回答だったが、理由が「友人らに聞いても、けんかや行き違いが絶えないなど、面倒くさそうじゃないですか」というのに世代の違いを実感させられた

▼また、晩年は「人知れず一人で部屋で死んでいるというのも嫌なので、誰かと一緒に住むのはいいかとは思う」。何と老成したような考え方か。けんかや行き違いに本気で悩むなどして、真の人間理解につながるのだが、一見論理的で実はコミュニケーション力不足という最近の若者評が分かる気がした

▼「草食系男子」なる言葉が聞かれるようになって久しい。結婚願望も、数年前から男性側の低下を示す統計が目立つ。いつか白馬の王子が現れるというシンデレラ症候群が、日本の女性にはまだまだ根強いのかもしれないが、1カ月前のバレンタインデーは義理チョコを巡って賛否が分かれた

▼義理チョコはバレンタインデー商戦を拡大し、同デーに縁のなかった男性も巻き込み、結果的に男女の垣根を低くしたが、「義理チョコはセクハラ」などの見方も台頭し転換期を迎えた感がある。ホワイトデーはどうだったか

▼商戦は縮小し〝出会いの機会〟が実質少なくなっているのではないか。各自治体で婚活事業が盛ん。政府は保育無料化で少子化を克服するつもりだが、バレンタイン・ホワイトデー効果に及ぶまい。草食系男子の心の奥に潜む傷つきたくない症候群をどう押さえるかは、広い意味で教育の問題でもある。