2019年3月12日(火)

▼避難所での生活が困難な要配慮者を受け入れる「福祉避難所」の運営マニュアルづくりを指導する三重大の磯和勅子教授(老年看護学)が「支援の体制づくりが整っていない」として「施設や行政などが連携して、事前に支援者を派遣してもらえるシステムを構築する必要がある」

▼県内の福祉避難所は373カ所、うち運営マニュアルを作成しているのは昨年3月時点で181カ所。3分の1に過ぎない。「福祉避難所」の名称が災害救助法に基づく指針に盛り込まれたのが平成9年。東日本大震災、熊本地震でも避難所での要配慮者問題が指摘されたが、防災減災対策の深化が3選出馬の動機のトップで、災害対策を使命とする鈴木英敬知事の足元で、そんな指摘を受ける実態が存在しているとは意外だった

▼県も避難所運営マニュアル策定指針を昨年11月改定した。高齢者、障害者、子ども、外国人など要配慮者対応が新たな課題となったためとしている。たとえば、と改定指針は言う

▼トイレ、風呂などのプラバシーが守られなければ女性は不安になる。不便さ、心ない対応で障害者や高齢者は一般避難所にいられなくなる―。要配慮者専用の2次避難所(福祉避難所)の設置を決定したが、対象者を選ぶルールもリーダーもなく、面談して社会福祉協議会が滞在型に改修したデイケアセンターに移動させるとも。確かに心もとない

▼風呂・シャワーが設置された場合、指針は女性対策として男女別の利用時間の定めを指導するだけ。だから「防災減災対策の深化」がトップなのだと知事は言うかもしれない。