直営1年、今後の方向性は 鈴鹿市の指定管理者制度 5月決算を検討、行政経営審議も

【直営になった18施設のうちの1つAGF鈴鹿陸上競技場=鈴鹿市桜島町7丁目】

鈴鹿市が市のスポーツ関連18施設に対し、指定管理者による施設管理ではなく、直営による管理運営を始めて4月で一年が経過する。市は直営を継続するのか、指定管理者に戻すのか検討中だが、明確な検討期間は未定。具体的な動きが見られない中、今後の方向性を探った。

市のスポーツ関連施設は平成26年度から、非公募で選定された市体育協会が指定管理者として管理運営してきたが、市は同市公の施設の管理者選定委員会(会長・小林慶太郎四日市大学副学長)の答申を尊重し、更新に伴う次期指定管理者の選定方法を非公募から原則公募に変更。29年12月定例会で市は公募で決まった指定管理者の指定議案を上程したが、市議会の否決により当面の間直営とする方針を示した。

議案を否決した市議会は昨年12月、「公平性、透明性の確保などに十分留意し、原則公募による指定管理者の選定を行うこと」など、今後のスポーツ施設に関する指定管理者制度のあり方についてをまとめた全会派一致の政策提言書を市に提出している。

否決した市議会がなぜ、公募での指定管理制度を押すのか。一見ちぐはぐな行動に見えるが、真意を水谷進議長に尋ねた。

水谷議長は当時、反対派として否決した市議18人のうちの一人。「反対した全員が一つの理由で反対したわけではない」とし、「改めてどういう意見があるのか、議員間討論で話し合ったことで一つの区切りがついた」。

会派ごとの意見では「選定委員会の意見を尊重すること」「議員として判断するための資料をもっと充実したものにすべき」「指定管理者制度の否定ではなく、議会での議決に向けた説明責任に疑問がある」などそれぞれの考え方があったが、「より良くしていくために力を合わせていこうという気持ちは同じ」と話す。

文化スポーツ部スポーツ課の永井洋一課長は市議会の否決理由について「非公募から公募に市の意見が変わったことへの説明不足だったと認識している」と話す。

いずれも「指定管理者制度や公募を否定するものではない」という認識で共通しており、公募による指定管理制度の再導入の可能性は高いと推測されるが、永井課長は「まずは5月の決算で直営の結果をしっかり検討する必要がある」と慎重な姿勢を見せる。

市は指定管理者制度についてどのように評価するのか。永井課長は「効果的、効率的に進めるのが本筋。選定委員会の意見に沿わないこともできない。議会の意見も真摯(しんし)に受け止める」と話し、今後に向けた改善策として、行政経営会議での審議などを検討しているという。

同選定委員会の小林会長(50)は「公共施設を管理運営していく中で何を重視するかということ。制度の趣旨と議会が求めるものが合うかどうか、そこを含めてどう市が考えていくか」と静観する。

二年後には三重とこわか国体が開催される。永井課長は「国体が終わるまで直営でいくのか、国体を指定管理でいくのか」。国体成功に向けてどのような体制で乗り切るかが、再導入時期を決める要素の一つになるとし、「少なくとも31年度中には、スケジュール的なものを示していかなければいけないだろう」と話した。