<地球の片肺を守る>キサンガニ編 初出張、コンゴ盆地の心臓部へ

【キサンガニ空港に降り立ったコンゴ・エアウェイズの機体(キンシャサから週4便ほど運行)】

ボンジュール! 現在、私は赴任後初めてとなる出張で、コンゴ第3の都市キサンガニ(Kisangani)に来ています。今回の出張目的は森林資源の調査と保護区や木材伐採箇所の視察です。

キサンガニは世界第2の規模を誇る熱帯林が広がるコンゴ盆地の心臓部、アフリカ中部をぐっと弧を描くように流れるアフリカ第2の大河コンゴ川の中流域と上流域の境あたりに位置しています。地図を一見しただけで、誰もがキサンガニが「陸の孤島」であることを理解できるでしょう。

そのキサンガニまで、どうしたらたどり着けるのか。選択肢は2つ。船と飛行機です。船は世界の秘境ツアーに選ばれてもおかしくないような、数週間のコンゴ川クルーズ。また飛行機の方は安全面から国連機を使用する必要がありました。

こうしたことから、私のような国際協力の専門家がキサンガニに行くのは、これまで、とてもハードルが高かったようです。しかし、近年、民間航空機がキンシャサから定期的に飛ぶようになり、やっとキサンガニまで業務で出張ができるようになったのです。

今回、私はその一番手。このため、日頃、私たちの支援活動をバックアップするJICА事務所から、セキュリティーを担当するエキスパートの方が、私の出張に同行することになりました。

ちなみにホテルは数年前に国連事務総長も宿泊したという市内で最も安全なところ(といっても100㌦程度、中級ホテル並みですが)。また現地での移動は、不測の事態に備え、基本的に車両2台で車列を組んで行うこととなりました。

アフリカ大陸の中央部に残された貴重な原生林の保護、最悪の感染症であるエボラ出血熱への緊急対応など、コンゴでの支援活動は、まさに国際協力業務の最前線。刻々と変化する状況に積極的かつ柔軟に対応していくことが求められます。安全対策に万全を期しつつ、コンゴでの支援活動を一歩一歩着実に前進させていかなければいけない…そういった当地関係者の一丸となった気持ちの下で、今回のキサンガニ出張が実現したのです。

上司である環境省次官に今回キサンガニに出張することを告げると、彼はその場で携帯を取り、何人かの現地担当者に「近々大仲がそちらに出張するから、しっかりとガイドしてやってほしい」と連絡を入れてくれました。次につながるような意義ある機会にしなければいけない、改めてそう決意し、私は次官室を退席しました。

【略歴】大仲幸作(おおなか・こうさく) 昭和49年生まれ、伊勢市出身、三重高校卒。平成11年農林水産省林野庁入庁。北海道森林管理局、在ケニア大使館、マラウイ共和国環境・天然資源省、林野庁海外林業協力室などを経て、平成30年10月から森林・気候変動対策の政策アドバイザーとしてコンゴ民主共和国環境省に勤務。アフリカ勤務は3カ国8年目。