2019年2月23日(土)

▼「相次ぐ不祥事への再発防止策を検討しているにもかかわらずまた起きたことに申し訳なく思う」―二度万引した工業研究所金属研究室の50歳の研究員を懲戒免職処分にして県人事課が言った。「再発防止策を検討」とは、庁内に組織された「コンプライアンス推進会議」や外部有識者による「コンプライアンス懇話会」を発足させたことだろう

▼研究員は昨年も万引で停職5月の懲戒処分を受け、復帰約2カ月での再犯だった。県の聞き取りに対し「盗むつもりはなかった。結果として金を払わなかった」と答えている。なぜか。「よく分からない。ストレスを抱えていた。満足感を得るための手段だったのではないか」

▼万引して「これぐらいなら分からないと思った」と言った県立高校教員とは違うのである。ストレスが原因で、その理由は「通勤時間や家庭のことで睡眠不足」というのが県の説明。果たしてそうか。いじめ自殺を「家庭に問題」などとするのは学校の隠ぺい工作の常とう手段である

▼上司のパワハラなどでうつ病を発症する県職員はよく見た。研究員のストレスは通勤や家庭のせいだと決めつけるのは早計ではないか。「1回目の処分が適当だったかも含めて、再発防止策や厳罰化などを検討したい」と人事課

▼うつ病だったとすると、5カ月の休職はあまりに短く、復職2カ月後の再発は当然でもある。1回目と言わず、2回を通して、処分が適当だったかきちんと検証しなければなるまい

▼体調を崩した職員を2回の症状を奇貨として放り出したとしたら、それはそれで県らしくないでもない。