2019年2月22日(金)

▼鈴木英敬知事が記者会見で、安倍晋三首相から知事選の推薦状を受け取り、「頑張って」と励まされたことを明らかにした。あまた推薦状が届く中で特に触れたのはうれしさを抑えきれなかったか。安倍首相からノーベル平和賞に推薦されたトランプ米大統領の喜びが分かる気がする

▼トランプ米大統領の性格を子どもと同じと評した米国研究の専門家がいた。子どもほど厄介なシロモノはないが、推薦者を50年間明らかにしないノーベル賞委員会の方針を理由にコメントを避けた安倍首相がトランプ大統領の記者会見での暴露をどう見ていたかは知らないが、推薦の効果は確信したに違いない

▼米国追従外交など、推薦に批判は少なくないが、日本外交にとって珍しいことでもあるまい。イラク戦争に真っ先に支持を表明した小泉純一郎首相がブッシュ大統領(いずれも当時)との信頼関係を築き、日米関係を円滑に進めた。文在寅韓国大統領が推薦を評価したが、先を越されたという気持ちもあったのではないか

▼世界に恥ずかしいなどの評もあったが、世界は知らず、身の回りでは心と真逆のお追従を上司や取引先相手にしている例は日常茶飯事だ。敬語の多様化傾向も周囲との関係をよくするためとされる。外交に日本のお国柄が出たとしても不思議ではない。ノーベル賞利用は、むしろしたたかという見方もあろう

▼トランプ氏の喜びは、北朝鮮政策の成果のアピールといわれる。鈴木知事も虐待対策の成果の強調、あるいは県のための国との強いパイプを示したものに違いない。恥ずかしがる必要は、むろんない。