<まる見えリポート>JFL・鈴鹿アンリミテッド 初の女性監督に注目

【選手の動きに目を配る鈴鹿アンリミテッドFCのミラグロス監督=22日、スポーツの杜鈴鹿で】

今年からアマチュアサッカー国内最高峰の日本フットボールリーグ(JFL)を戦う鈴鹿市拠点の「鈴鹿アンリミテッドFC」が新監督にスペイン人女性のミラグロス・マルティネス・ドミンゲス氏を招へいした。33歳の若さでヨーロッパ最高峰のUEFA(欧州サッカー連盟)プロライセンスを保持する才媛。同チーム初の外国人指導者の上、JFL以上の国内カテゴリーで史上初の女性監督誕生。3月のリーグ開幕前から注目を集めている。


今シーズン始動日の今月22日、スポーツの杜鈴鹿で今年初の全体練習が行われた。ミラ監督は臨時の女性通訳を伴って登場。この日は軽めの内容で、ボールを使った基礎体力トレーニングのほかミニゲームなど約1時間半で終えた。

スペインの女子2部リーグ、アルバセテ・バロンピエでプレーした後、指導者に転身した。古巣の女子チームを率いて2部から1部に引き上げたり、男子ジュニアチーム監督を務めた実績はあるが、男子トップチームの指導は初めてだ。

指導者としてステップアップするため、男子チームを率いる経験を積みたいと考えていた昨年12月上旬、鈴鹿から監督の就任打診を受けた。オファーはいくつかあったというが、男子チームの監督を提示したのは鈴鹿だけで「すごくうれしくて、すぐ決めた」。

練習には選手19人と練習生3人が参加した。選手の印象について問われると「仕掛けが少なかったが速さは思った以上」と述べ、「日本とスペイン、選手の持ち味の3つのトライアングルで、良いサッカーを見せたい」と意欲を見せた。

選手の反応もおおむね良好。前期副主将の藤田浩平選手は「個人的にスペインのサッカーが好きなので楽しみな気持ちの方が多い」。今月15日の監督就任会見は在京テレビ局を含む約10社の報道機関が来場。チーム始動日も練習会場に多くの報道陣が集まったが「チームが注目が高まるのは良いこと。個人でも注目されるよう頑張っていく」と冷静に受け止めている。


喫緊の課題は言葉の壁。練習初日は女性通訳の声が小さいこともあって、日本人の男性スタッフが監督の指導を大きな声で復唱する場面が何度も見られた。ミラ監督も選手との意思疎通強化へ「周囲と協力して対応する。自分も日本語をしゃべられるよう頑張る」と前向きな姿勢を見せた。

チームも通訳兼コーチの人選を急ぎ行っている。「言語の摩擦や選手としての実績がないことなど不安材料もあるが、監督の指導内容が選手に正しく理解されればそうしたリスクは回避される」(運営会社の吉田雅一常務)と見る。

新監督の方針に沿い、戦力の補強も随時行うという。初参戦の全国リーグで手探り状態の印象もあるが「いろんな人にチームを知ってもらう一年にする。(ミラ監督の招へいも)関心を持ってくれるきっかけになれば」(吉田常務)と覚悟をにじませている。