「ワクチン接種を」 はしか拡大、予断許さず 三重県知事会見

【定例記者会見で、国立感染症研究所に派遣を要請したと明かす鈴木知事=三重県庁で】

鈴木英敬三重県知事は23日の定例記者会見で、津市神戸の宗教団体「ミロクコミュニティ救世神教」が開いた研修会ではしかの感染が広がった問題を受け、国立感染症研究所(東京)に専門家の派遣を要請したことを明らかにした。感染の拡大は「予断を許さない状況」という。

同研究所職員1人と実地疫学専門家養成コース研修員2人が22日から約2週間、対応の助言などに当たる。これまでに感染した信者の多くがワクチンを接種していなかった。同団体はホームページにおわびを掲載した。

鈴木知事は「ワクチンを接種してもらいたい」と呼び掛け、感染拡大の状況について「研修参加者の家族や医療機関に居合わせた方など、まだ3次感染の発症が報告されている」と述べた。

研修会は先月23―30日に開き、県内外から参加した49人のうち29人が感染。家族や同じ医療機関を訪れた人の間などでも感染が広がり、感染者は23日までで46人に上る。

◆解説◆「個人情報」の壁、名称公表に課題

津市にある宗教団体「ミロクコミュニティ救世神教」の研修会で発生したはしかの集団感染。研修会の主催者を公表すべきかという課題を浮上させたが、公表には「個人情報」という壁が立ちふさがる。

県は集団感染が発覚した当初の発表で、研修会の主催者を「民間」とするにとどめた。一方、宗教団体が22日にホームページでおわびを掲載したのに合わせて、県も主催者の名称を明らかにした。

県によると、宗教団体は当初、県の聞き取りに対して名称の公表には否定的だった。県も団体側の意向に加えて「集団感染の予防と名称の公表は無関係」との理由で公表を控えていたのだという。

県が名称の公表に対する判断を団体側に委ねた背景にあるのは、今回の問題に適用された感染症法。感染拡大の予防に必要な情報の公表を義務付ける一方で「個人情報」への留意も求めている。

ただ、感染の拡大を確実に防ぐには感染の根幹を具体的に公表することは不可欠ではないか。「民間」や「津市内の研修会」という発表にとどめれば関係のない団体も疑われ、風評被害につながりかねない。

県には名称の公表に関する明確な規定はない。鈴木英敬知事は名称の公表を巡って担当課と議論する考えを示した。優先されるべきは情報の発信と保護のどちらか、対応のあり方が問われている。