2019年1月15日(火)

▼伊勢志摩サミット直前の共同通信加盟社論説委員会で各国首脳らの神宮訪問について、政教分離の観点からどうかを講師の小池晃共産党書記局長に質問し「気にしすぎ」と一蹴された話は以前書いた。同じころ同党県議団は極めて問題ありと県に申し入れている。一枚岩とされる同党にして政教分離の問題はかくも悩ましい

▼伊勢市が改元を祝う「国民総参宮」ののぼり旗を政教分離の観点で市庁舎から撤去し、市の観光部門が揺れている(本紙『まる見えリポート』)。毎夏主催している伊勢神宮奉納全国花火大会でさえ「奉納という言葉を使っていいのか」

▼「表現には敏感にならざるを得ず、現場が萎縮しないか心配だ」と市産業観光部理事。神話の物語性を観光行政の基本にしてきたが「一から見直している」

▼市総合計画策定でも、神宮関係の行事の扱いや学校教育に郷土愛を盛り込むかで審議会と市教委が対立した。鈴木健一市長は、審議会案が多数だった意見公募の結果に「多数決で決めるわけではない」と市教委を支持したが、出雲の神話をまとめた島根県の「ふるさと読本」を示され、神宮の記述充実に賛成した

▼小学校の修学旅行が東大寺を訪れながら春日大社を素通りすることに疑問としたが、「国民総参宮」ののぼり旗は自身が会長の委員会で製作したにもかかわらず、報道陣の指摘で「憲法上問題はない」としながらも「誤解を招きかねない表現」

▼市長の判断も揺れるということだろう。法に抵触しなければよしとする昨今のすう勢の中で、一つひとつ吟味し、考えていくという姿勢は悪くはない。