吉田選手引退 「強くて優しかった」 三重が生んだスーパースター

【リオ五輪後の平成28年10月4日、津市内を凱旋パレードする吉田選手(中央)ら=津市大門で】

8日に現役引退を表明した三重県津市出身の吉田沙保里選手は、レスリングの練習に励む郷土の後輩たちにとって身近な存在であり、偉大な目標だった。四日市市立西朝明中3年の藤波朱理さんは、練習会で接した吉田選手の印象を「強くて優しかった。スパーリングでも優しく技を教えてくれた」と話す。

自身は昨年7月の世界カデット選手権女子フリースタイル49キロ級で優勝し、年代別で世界チャンピオンになった。将来の夢として「世界で活躍して、沙保里さんのように、レスリングだけでなく人間的にもチャンピオンとなること」と語った。

県レスリング協会の土方明郎理事長は「どんどん成長していく姿をうれしい思いで見てきた。(引退表明は)率直に言って寂しい」と話す。「彼女を目指して成長した後輩らも頑張っている。今後もレスリング界の発展に携わっていってほしい」と述べ、現役時代と違う立場での活躍を願った。

五輪などで連覇を重ねるうちに名声はレスリング界以外にも広まった。一昨年に津市でオープンした津市・産業スポーツセンターは、吉田選手の名前にちなみ「サオリーナ」と命名された。成人式など地元住民に身近なイベントが開かれる一方で、1年後の東京五輪でカナダのレスリングチームが事前キャンプを行うことも決まっている。

津市の前葉泰幸市長は「沙保里さんに名付けていただいた『サオリーナ』は、未来永劫レスリングの聖地として津市でこれからも輝き続けます」とコメント。鈴木英敬知事も同日のぶらさがり会見で「県民挙げて全力で吉田さんの人生を応援していきたい」と述べ、「三重県が生んだスーパースター」にねぎらいと感謝の言葉を贈った。