<1年を振り返って>三重県議会の定数問題 紛糾の末に増加へ

三重県議会は定数問題で紛糾した一年だった。次期県議選は5減の45で実施する予定だったが、3月の本会議で定数増の条例を賛成多数で可決。次期県議選は現在の定数と同じ51で実施することとなった。

議会では、定数増を主張する〝51派〟と、当初の通り削減すべきとする〝45派〟が激しい議論を展開。選挙区調査特別委では主張が平行線をたどり、一年半の議論を経ても結論を出せなかった。

このため、一時は「45」で決着したかに見えたが、51派の議員ら5人が51に戻す条例案を2月定例月会議に提出。賛成23、反対22の僅差で可決し、次期県議選は51で実施することとなった。

ただ、45派は納得しなかった。一部の議員らは51と45の〝折衷案〟を可決させようと水面下で51派と協議するも頓挫。最終的には、5人の議員が定数を45に戻す条例案を6月に提出した。

しかし、結局は9月の本会議で賛成23、反対24で否決に。51派の議員は、同一会期中に同じ案件を審議できない「一事不再議」に当たることや、次期県議選が迫っていることを反対の理由に挙げた。

51派は南部地域の声を反映させることを定数増の理由に挙げた。平成26年に可決された条例が削減の対象とするのは全て南部地域で「人口減などの課題が多い地域の定数を減らしすぎだ」と主張した。

一方、45派の議員らは「現行の条例で決まっている45で一度は選挙をすべき」と主張。定数を51に戻せば「一票の格差」が拡大することも問題視。「定数増は自己保身だ」と主張する議員もあった。

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定数を巡る紛糾は会派分裂の事態にも発展。定数増を主張する議員が多くを占める最大会派「新政みえ」からは、定数増に反対する2氏が脱退。第2会派の自民党も定数を巡る意見の食い違いで分裂した。

定数の問題は県議会の外にも飛び火した。津市内の自治会でつくる連合会は、定数減の検討を求める陳情書を県議会に提出。「過大な議員報酬を持続させることは県民感情を逆なでする」と訴えた。

定数を戻した県議会を「暴挙」と批判したのは、11人の名張市議が県議会に提出した陳情書。市議会が今期から議員定数を2減したことを踏まえ、県議会にも定数減に向けた再検討を求めた。

定数増に反対する県内の市議や町議らも「説明責任に課題がある」として、定数の削減に向けた見直しを求める請願を6月に提出。総務地域連携常任委は、この請願を賛成多数で「採択すべき」と決した。

ただ、この請願も45に戻す条例案と同じく、本会議は「一事不再議」を理由に賛成少数で否決した。請願を提出した四日市市議は「党利党略や議員の保身で否決されたのではと思ってしまう」と疑った。

議会内には「もう議員では決められない」として、第三者機関の設置を求める声も上がるが、一部の会派は「改選後に決めれば良い」と反発し、設置の見通しは立たず。改選後も定数を巡る紛糾は続きそうだ。

次期県議選は定数が争点となる見通し。新政みえは「当てつけではない」としつつ、会派を脱退した議員に〝対抗馬〟を擁立した選挙区もある。定数を巡って舌戦が展開されることは間違いなさそうだ。