外国人来庁者へ窓口対応 鈴鹿市「多言語通訳システム」 県内初、導入向け効果検証

【タブレット端末を使った「多言語通訳システム」で外国人来庁者と対応する市職員=鈴鹿市役所で】

外国人労働者の受け入れを拡大する国の入管難民法が改正され、来年4月から施行される。鈴鹿市は17日から、市役所の外国人来庁者への窓口対応として、県内初となるタブレット端末を使った「多言語通訳システム」2台の試験導入を開始した。本格導入に向け、3カ月間で効果を検証するという。

市によると、先に法改正を見越した試験導入というわけではないという。

市民対話課の實義幹夫課長は「外国人市民の定住化傾向の進行とともにベトナム、インドネシア、スリランカなどアジア圏の外国人市民が増加しており、行政窓口で多言語対応を求められる機会も増えている。一方で、対応できる言語数に限りがあるという課題に直面している」と説明する。

市の外国人市民人口は10月末現在で8166人、総人口との比率は4・07%。いずれも県内3番目。国数としては56カ国にのぼるがブラジル、ペルー国籍が約半数を占める。

新たに導入された通訳システムはポルトガル語、スペイン語をはじめ、ネパール語やヒンディー語など12言語に対応。データ通信によるテレビ電話機能を介し、来庁する外国人市民と職員の会話をコールセンターの通訳者を介し、三者で会話ができる。言語はタブレット端末の画面で選択でき、選択した言語の通訳者につながる仕組み。事業者のシステム運用会社ポリグロットリンク=東京都豊島区=は愛知県一宮市などで実績を持つ。

通訳職員として、市ではポルトガル語2人、スペイン語1人の計3人を配置し、対応してきた。昨年度のポルトガル、スペイン語の年間通訳実績は9627件で、一日平均約40件。簡単な支払いなどは日本語の理解ができなくても、指さしなどで対応できる場合もあるが、相談内容によっては1人に数時間単位でかかりっきりになることも多く、現状は決して十分な支援体制とは言えない。

頻繁ではないが、対応できない言語の場合、外国人来庁者が鈴鹿国際交流協会などに通訳ボランティアを紹介してもらい、再度通訳ボランティア同伴で来庁し、手続きを済ませるなど、手間と時間が非常にかかることもあるという。

導入初日、タブレットを使って対応したのは2件。そのうちの1件は、国民保険の相談に訪れた市内在住でペルー国籍のアンドレア・ロクサナ・フローレス・カスティーヨさん(18)と、母親のイングリド・ロクサナ・カスティーヨ・イシハラさん(48)。2人はタブレットの向こう側にいるスペイン語の通訳者を介して、窓口対応の市職員とやりとりし、手続きなどを進めた。

手が空いたのを見計らい、2人に話を聞くと「通訳者の声も聞き取りやすく、スムーズなやりとりができた」と話し、対応にはおおむね満足な様子。一家は平成17年に来日し、一時帰国や他市で暮らしたこともあったが、鈴鹿に長く住んでいるという。母親は仕事が忙しく、日本語教室に通う機会がないまま、現在もほとんど日本語が理解できない。比較的日本語を理解している娘を頼りにしている。

対応した保険年金課の太田涼介さん(25)は「言語が多様化する中でタブレットでコミュニケーションを図れるのは有効な手段。安心感もある」と評価する一方、「離れた場所の通訳者に専門用語の説明などが上手く伝わっているかなど、見極めていく必要がある」と話す。

實義課長は「定住化も進んでおり、DVや児童虐待など込み入った相談も増加傾向にある。通訳者を介してどこまで踏み込めるかは分からない」と慎重な姿勢を示し、「今回は市役所内だけの試験導入になるが、来年度は学校や保健センターなど、もう少し対象を拡大して試験運用の中で需要を調査できれば」と話した。