<1年を振り返って>障害者雇用率算定誤り 相次ぐ不祥事、問われる姿勢

【障害者雇用率の算定誤りを前田議長(右手前)に謝罪する鈴木知事(右奥)ら=三重県議会議事堂で】

 相次ぐ事務処理ミスや不祥事に悩まされる三重県庁で今年、新たに発覚したのが障害者雇用率の算定誤り。全国の官庁などで障害者雇用率の水増しが相次いで発覚したが、県や県教委、県警も例外ではなかった。

 中でも県教委の算定誤りは深刻だった。現在の方法で算定が始まった19年度から30年度まで、延べ261人を誤って障害者に計上。障害者手帳のない職員を障害者として計上するなどしていた。

 これまで県教委は「26年度からは法定雇用率を達成し続けている」と主張していた。しかし、誤りの発覚を受けて精査したところ、実際は一度も法定雇用率を達成していなかったことが明らかとなった。

 法定雇用率を下回る企業は納付金を支払わなければならない制度があるだけに、問題の発覚は外部に不信感を募らせた。また、障害者や労働に関する8団体は再発防止を求める要望書を県などに提出した。

 この事態に、県当局は〝異例の謝罪〟で対応。鈴木英敬知事、廣田恵子教育長、難波健太県警本部長は県議会議事堂を訪れ、前田剛志県議会議長に「障害者を裏切る行為で申し訳なく思う」と陳謝した。

 さらに、鈴木知事は前田議長に陳謝した2日後の本会議でも「責任を極めて重く感じている」と述べ、深々と頭を下げた。11月定例月会議では、問題への責任として自らの給料を減額する条例案を提出した。

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 ただ、謝罪だけで不信感が収まるという簡単な問題ではない。問題発覚の経緯でも不信感を生む結果に。県は中央官庁などで問題が発覚した際の取材では「同様の問題はない」と回答していた。

 県教委に至っては、29年度、30年度分の誤りを発表した際は「前を向いて進めたい」とし、さかのぼって調査をしない方針だった。最終的には鈴木知事の指示で調査し、過去の誤りが続々と判明した。

 算定誤りの理由も釈然としない。県などは「水増しではなく、あくまで事務処理のミス」と説明するが、その真偽は定かではない。むしろ、問題を全て「事務処理のミス」と断定するのは逆に不自然だ。

 県教委は問題への対応として、官民でつくる「障がい者雇用推進チーム」を発足させた。障害者雇用の調査が予定される来年6月までに法定雇用率を達成させる方針。県も再発防止策の策定を進めている。

 ただ、障害者雇用を急ごうとする姿勢にも疑問の声がある。県障害者団体連合会が提出した要望書では、法定雇用率の達成を急ぐ県教委に「短期雇用による数合わせになる恐れがある」と指摘していた。

 障害者雇用率の算定誤りを巡る問題では、調査や原因究明などの対応を表面上の処理だけで済ませようとする組織の姿勢が垣間見えた。この姿勢が相次ぐ不祥事を生み出す背景にあるのではないだろうか。