女児遺棄、懲役12年求刑 傷害致死罪の成立強調 津地裁 三重

昨年8月、内妻の連れ子であるナガトシ・ビアンカ・アユミちゃん=当時(6つ)=を死亡させ、遺体を車内に遺棄したとして、傷害致死と死体遺棄の罪に問われた、ペルー国籍の三重県四日市市大治田三丁目、無職トクダ・バレロ・フェルナンド・ホセ被告(37)の裁判員裁判は5日、津地裁(平手一男裁判長)で論告求刑公判があり、検察側は「同種事案でも悪質。幼い被害者を死亡させ、遺体を執拗(しつよう)に遺棄した責任は重い」として懲役12年を求刑した。判決は19日に予定している。

検察側は論告で、医師の証言などから「被害者のけがの理由は強い暴行を受ける以外に考えられない」と指摘。飛び散った血痕から、暴行現場は自宅アパート2階とし、また当時入院していた被害者の母を除いて犯行可能な人物が被告以外にいないことなどから、「死に至る重傷を負わせる極めて強度かつ執拗な暴行を加えた」と傷害致死罪の成立を強調した。

適切な救命措置をとらず、遺体をタオルなどで何重にもくるんで消臭ビーズとともにプラスチック製の箱に入れ、接着剤で密閉して南京錠をかけるなど入念に遺体を隠そうとした点から、「死亡後の行動も極めて悪質」と指摘。逮捕後の供述も二転三転していたとして「不可解な弁解で全く反省がない」と主張した。

弁護側は最終弁論で、「被害者の傷は暴行とするには合理的な疑いが残る。残された血痕の状況も、暴行があったと説明するには疑いが残る」とし、あくまでもけがの原因は被告の暴行ではなく、階段からの転落事故だったと主張。「疑わしきは被告人の利益とするのが原則。合理的な疑いが残らないよう立証する必要がある」として傷害致死罪の無罪を主張した。

論告に先立ち、被害者の母親でトクダ被告の内妻だった女性が法廷に立ち、「子どもとの時間を奪われた。娘にしたのと同じ最後を与えてほしい」と憤りを語った。トクダ被告は最終意見陳述で、「迷惑をかけ傷つけた全ての皆さまに申し訳なく思う。どうか面倒を見れなかった責任と死を招いた責任とは混同しないでほしい」と述べた。

論告によると、トクダ被告は平成29年8月16日から同20日ごろまでの間、自宅アパート居室でアユミちゃんに暴行を加え、外傷性ショックにより死亡させた。また29日にかけて、遺体を箱詰めして鍵をかけるなど隠匿し、アパート駐車場に駐車した車に運び入れて遺棄したとしている。