三重県議会・一般質問 子ども一時保護 保護者に通告なし問題視

三重県議会11月定例月会議は5日、木津直樹(自民党県議団、1期、伊賀市選出)、日沖正信(新政みえ、5期、いなべ市・員弁郡)、服部富男(自民党県議団、4期、三重郡)、中村進一(新政みえ、6期、伊勢市)の4議員が一般質問した。服部議員は、児童相談所が保護者への通告なしに子どもを保育所などで一時保護していることについて「保護者に何も言わず連れて行くのはおかしい」と問題視。県当局は「子どもの安全確保が最優先。保護者には粘り強く説明している」とし、保護の手法に問題はないとの考えを示した。

◆Jスタ建設の課題は ― 木津 直樹議員(自民党県議団)

Jリーグの規格に合ったスタジアムの建設などを目指す県民会議が開かれたことに関連し、建設の課題を尋ねた。鈴木知事は資金調達などを課題に挙げた上で、「オール三重で前向きに議論する」と答弁した。

【川上ダム】
木津議員 伊賀市で建設中の川上ダムに骨材を搬入する車両は最大1日180台で、往復360台が公道を通行しているが、外側線がほどんと消えている道路を走っている。安全確保の点から早急に対策をお願いしたい。

渡辺県土整備部長 骨材の運搬車両は国道163号など7路線の県管理道路を通行している。現地確認の結果、本年度は7路線のうち2路線で剥離が極めて進んでいる場所を引き直している。ほかの路線も引き直しが必要になった際は早急に対応したい。

【Jリーグ】
木津議員 Jクラブの誕生とスタジアムの建設を目指す県民会議が初会合を開いた。いよいよ県にも誕生かと期待が膨らむが、Jリーグのスタジアムとなるとライセンスのハードルも高く、財政的にも相当な覚悟が必要。県の考え方は。

鈴木知事 県民会議の発足はJリーグのチームを誕生させる第一歩。各界トップによる議論の枠組みができたことは大きな意義がある。一方、スタジアムの建設は整備手法や資金調達などの課題があり、オール三重で前向きに議論できるよう取り組む。

◆大学の拠点誘致は ― 日沖 正信議員(新政みえ)

進学や就職による若者の転出が多いと指摘し、大学のサテライトキャンパスが設置される可能性を質問。県が昨年度に全国の私立大学を対象に実施した調査では県内に拠点を置くことを検討している大学はなかったと明かした。

【人口減対策】
日沖議員 転出超過による社会減が著しい。県外から大学が誘致されれば若者の県内定着にも期待が持てるが、可能性はあるのか。

西城戦略企画部長 昨年度、県外全ての私立大学に対して今後10年以内に大学を設置または移転する可能性についてアンケート調査した。「今後検討する可能性がある」と回答したのは23校あったが、残念ながら県を想定しているところはなかった。厳しいアンケート結果となったが、11月には東京大学と連携協定を締結し、四日市市にサテライト拠点を設置することになった。

【介護人材】
日沖議員 介護人材が不足している。県内の実態をどのように捉えるか。介護助手の取り組みは。

福井医療保健部長 2025年度の県内の介護職員数の需要と供給の差が2894人になると推計される。職員を確保するには処遇改善や勤務環境改善に取り組む必要がある。介護助手は県内の老健施設31施設、特養10施設、グループホーム3施設で実施されている。介護助手を普及させるため本年度はマニュアルを作成している。

◆通告なし「おかしな話」 ― 服部 富男議員(自民党県議団)

服部議員は児童相談所が保護者への通告なしに子どもを一時保護したケースとして、名張市の保育園児と津市の小学校に通う児童の2例を挙げて追及。県当局は「子どもの安全確保が優先」と説明したが、服部議員は「おかしな話だ」と譲らなかった。

【児童相談所】
服部議員 6月から7月に掛けての話だが、5歳児が名張市内の保育所で児相に一時保護された。後に「子どもを預かっている」と電話を受け、迎えに行っても返してくれなかったという。児相が急に子どもを連れて行くことがあるのか。

田中子ども福祉部長 児童の安全を確保し、観察や意見聴取で情報を収集するのが一時保護の目的だが、子どもの安全を確保するために保護者の意図とは関係なく早期に保護しなければならない場合がある。その際は児童福祉法に基づき、児童相談所長が職権で一時保護し、速やかに保護者へ告知している。保護者が事実を受け入れることを拒んで児相と対立関係が生じる場合は担当者が粘り強く一時保護の必要性を説明し、理解と協力が得られるよう努めている。

服部議員 津市でも同様のことが起きている。泣きながら通学していた小学生が「お母さんにしかられた」と言ったのだと思うが、保護者に何も言わずに民生委員を通じて一時保護されたと聞いている。何も言わずに連れて行くのはおかしな話だ。

◆社会的養護、22歳まで ― 中村 進一議員(新政みえ)

親元で暮らせない子どもへの支援策を尋ねた。県はこれまで児童養護施設や里親家庭での生活は20歳までとしていたが、進学状況などに合わせて本年度から22歳になった年度末まで延長できるようになったことを明らかにした。

【社会的養護】
中村議員 親元で暮らせない子どもが児童養護施設や里親のもとを離れて進学や就職をする際、どのように支援しているのか。

田中子ども・福祉部長 退所後の生活費や家賃を支援するため自立支援資金の貸し付けを行っている。20歳の年齢制限により施設を退所または里親への委託解除となった人のうち、支援を継続して行うことが適当な場合は22歳になった年度末まで施設や里親家庭で生活の場を確保するなど個々の状況に応じて必要な支援を本年度からスタートさせた。

【浸水対策】
中村議員 昨年の台風21号では伊勢市内では広範囲で浸水被害が発生した。勢田川流域の浸水対策の進捗(しんちょく)状況と今後の進め方は。

渡辺県土整備部長 浸水被害を受け、国と県、伊勢市で対策協議会を設置し、今年6月に「勢田川流域等浸水対策実行計画」を策定した。桧尻川では来年度以降に実施予定だった暫定河道掘削を1年前倒しして本年度から着手することにした。危機管理水位計は今年8月に勢田川と汁谷川で運用を開始し、市内では本年度中に6カ所に設置する。

<記者席>「来年、戻れるか分からないが」

○…「質問に入る前に知事に話を」と切り出した服部議員。次期知事選への態度を尋ねるのかと思いきや「今回は知事に登壇いただかなくて結構。いずれ話されると思う」という「不質問通告」だった。

○…任期最後の一般質問となった服部議員だが、質問を一つ残して時間切れ。締めくくりに「また質問したい。来年、戻れるか分からないが」とこぼした。さすがに自らの当落は気がかりのようだ。

○…中村議員は昨年10月の台風21号で発生した被害を取り上げ、近鉄宇治山田駅や伊勢神宮外宮周辺の商店街など伊勢市内の浸水写真を示した。

○…同市小俣町の写真では「先ほど(地元の)奥野議員に聞いたら『わしのところは大丈夫だった』と言われた」と語った。同じ選出区でも〝被害確認〟は1年越しのようだ。