2018年11月27日(火)

▼「地方裁判所管理局」という実在しない裁判所名で訴訟告知のはがきが10月ごろから全国各地に届き、100万円以上の被害が相次いでいると、東京地裁が注意を呼び掛けているという。相談は17都道府県、550件に及ぶが、県の被害はどうか

▼最高裁が、支払督促や少額訴訟などの手続を悪用した架空請求に注意を呼びかけたのは7月末。時遅しか、なるほどその手があるかと詐欺グループが気づいたか、逆に詐欺の勢いを増したとしたら皮肉なことだが、特殊詐欺にはしばしばそう思わせるような被害が少なくない

▼件数は昨年比で減少しているが被害額は増加している、というのが県警の話。その理由が5月の県内最高被害額、1億3400万円をだまし取られ津市の80代女性のケースと無縁でないと思うと複雑な気持ちになる。22、23日は津、四日市、熊野各市で2件ずつの計4件。これで件数が減少しているのかと、眉につばしたくもなる

▼偽裁判所の通知に警戒を呼びかけて、弁護士事務所が弁護士への相談を勧めているが、県の被害では1億円被害をはじめ、偽弁護士の被害が絶えない。偽警察官とともに1、2位を争っているのではないか。人生の中でほとんど接触のない、あまり関わりたくない職業の人の登場に、動転している被害者の姿が浮かぶ

▼電子マネー、プリペイドカードなど、決済手段が多様化していることも被害に拍車をかけている。詐欺にあわないようご用心。社会の変化と密接に関わり合っているだけに、詐欺にあう土壌そのものの対策を講じなければ根絶は困難に違いない。