2018年11月20日(火)

▼「ゆるキャラグランプリ」の1位を目指し、四日市市の「こにゅうどうくん」が気勢を上げているのをテレビで見たのはいつだったか。ゆるキャラと決起集会のミスマッチのような組み合わせがおもしろく、鈴木英敬知事に感想を聞こうとしたら10月末のことだが、知事は周囲と「イヌナキン(泉佐野市)の追い上げがすごい。あの勢いは油断ならない」と熱く語っていた

▼くまモンの名を初めて耳にしたのは5年ほど前。共同通信加盟社の会議で地方活性化が話題になった時で、地元紙の報告について行けず弱った。賛否あったキャラクターだったが、豊かな海づくり大会で美智子皇后がお声をかけるハプニングで一気に全国ブランドになったみたいな話だった

▼彦根市の「ひこにゃん」も原案者との著作権騒動に関心があっただけだから、ゆるキャラに何の権威も主張しないが、騒動が知名度アップに寄与したのかもしれない。「こにゅうどうくん」も思わぬ展開となった。市が職員に投票を促していたという。NHKの『クローズアップ現代』にまで取り上げられた

▼「組織票」という呼ばれ方自体、ミスマッチは決起集会どころではない。森智広市長は「ルールの範囲」を強調しネットで総スカンとなった。自己主張が袋だたきにあうのは日本社会で珍しくない。「市の一体感を育てたかった」という狙いなど誰も聞く耳を持たなかったに違いない

▼知事が熱く語ったころ、四日市市の弁当店で、店長の女性が「瀬戸際らしいの」と投票を呼びかけるチラシを配っていた。全国ブランドへの道は遠のいたわけではない。