2018年9月16日(日)

▼三重県教委や県警が障害者雇用率を水増ししていた問題で、鈴木英敬知事は県議会で「障害のある方々への背信行為であると言っても過言ではない」。陳謝し、原因究明の「コンプライアンス推進会議(仮称)」設立を表明した

▼「覚悟を持って信頼回復に取り組む」とも。県教委の水増し発覚後の知事の発言は胸がすく。越境入学問題でも調査を渋る県教委を叱咤して全容解明したが、ルール破りを追認する新ルール制定に疑問を感じながらも合法状態になったことを評価した。で、一つやり過ごしたらまただ。今度こその決意がにじむ

▼もっとも「推進会議」の構成が総務副部長をトップにするなど、冷水がじわりと染み込む気配も感じる。廣田恵子教育長が過去の調査をしない理由にあげた「前向きな姿勢で臨みたい」。すなわち過去に力を割くことを後ろ向きとし、改善策に力を注ぐことが生産的、建設的という考え方は、県総務部伝統だからだ

▼どんなに立派な「統一的チェック体制」も、抜け穴づくりにかけては何枚も上手の県職員の手にかかれば額面通りに受け取れるかどうか。前知事、元知事らの看板施策がどこにしまい込まれたか。ほとんど話題にならないことでも、短命の懸念は尽きない

▼コンプライアンスは20年ほど前の社会保険庁や企業の不祥事を受けて基本ルール設定が求められた。結果は最近の偽装続発を見ても分かろうというものだが、形ばかりの内部通報制度の整備で報道機関への通報などは守秘義務違反とするなど、逆に企業の閉鎖体質を強化した。県総務部のお手並み拝見とはいきかねる。