2018年9月12日(水)

▼2年間調べて障害者雇用率を水増しが発覚した県教委は、それ以上さかのぼって調査しない理由について、廣田恵子教育長は「前向きな姿勢で臨みたい」。「障害者雇用をどのように進められるかということを考えたい」と続く。後ろ向き、つまり過去の処理にエネルギーを費やすくらいなら法定雇用率達成に力を注ぐ方が生産的というのである

▼県も県教委もそう言って再発防止策を急ぎ、過去の誤りにフタをし責任を封じてきた。過去をきちんと精算できない組織が将来に責任を持てる体制を築けるはずがない。県の「不適正」、世間の「不正」経理がその後も繰り返し発生し、県の発覚から2年間、素知らぬ顔でカラ出張を続た県教委は越境入学問題ではルール破りの教職員を野放しにし、土俵を変えた

▼都道府県教委の中で障害者雇用率がワースト5の常連だった県教委が法定雇用率を達成していたのには驚きと違和感があった。県で水増しなら県教委だと思ったが、県警だった。県教委の闇はさらに深かった

▼幹部6人を監督責任として厳重注意処分にしたという。懲戒処分に至らぬが何もしないのも外聞が悪いという処分で、履歴書の賞罰欄に記載する必要がない。叙勲などの除外対象にはならないのである

▼もっとも、カラ出張では一部部長が懲戒処分である戒告処分になった。みんなやったのに、叙勲で表彰されるOBは後ろめたくて仕方ない。で、現職がどんなマジックを使ったか同期に2年遅れで受章させてしまった。当時は仕方なかったのさ―県民を裏切ったことに誰も痛みも責任も感じないのである。