2018年9月5日(水)

▼芳野正英県議が出身校で参院選出馬を明言したとされる問題で、前田剛志県議会議長は記者会見で「議長や個人としての見解は、今のところ控えたい」。前野和美副議長は「政治倫理に関わる。重く受け止めるべき。議会改革の大きな柱。どう自覚しているかを問いたい」

▼どちらが議長か分からなくなる。出馬表明と事前運動の関係も分かりにくい。芳野県議は母校講演のあと県庁で記者会見して立候補を表明した。こちらは不特定多数の前ではないから合法となるか。翌日には広く報じられるのだから形式的な気はする

▼報道は有権者に判断材料を提供するため。事前運動とは無縁ということでもあろうが、石川県穴水町の町長が昨年、町役場で再選出馬の会見をしたら県選管から事前運動に抵触の可能性を指摘された。会見開催を記者会に通知したことが「積極的に人を集め」選挙を有利に運んだと見なされかねないというのだ

▼鈴木英敬知事の再選出馬表明は、県議会の所信表明の中だった。政策を語り「出馬し、再度県政の重責を担わせていただきたいと決意」。議員、報道各社、傍聴者がいる開かれた場での表明である

▼出馬表明がただちに事前運動にはならないという判断は定まっている。実質、投票の呼び掛けと見なされるかどうかだ。有権者もいる高校生の前で参院選への政策を語ったとしたら際どいが、いずれにしろ解釈で事前運動になったりならなかったりする出馬表明だ

▼議長は何ものにもとらわれぬ議会の代表者としての見識を見せてほしい。副議長はむろん、その立場で発言しているのだろうが。