2018年9月2日(日)

▼「ごめんで済むなら警察はいらない」と何度か書いた。警察官が信頼され、恐れられた時代の言葉だろうが、謝れば済むという風潮やあっけらかんとした態度に思わず口から出たのがきっかけではないか。最近は、当の警察官がよく謝る

▼携帯電話を盗み、元交際相手の20代女性を中傷する文章を第三者を装い会員制交流サイト(SNS)に複数回、書き込んだ20代巡査が「被害者の方に大変申し訳ない」。部下に暴力を伴うパワハラ行為をした40代巡査部長と50代警部補も「行き過ぎた行為があり申し訳ない」

▼謝りさえすれば警察はいらないことを、警察自身が身をもって証明してみせたか。中傷文書を書き込んだ巡査は窃盗容疑で書類送検され、ストーカー行為で減給3月の懲戒処分になって依願退職した。退職金は出るということだろう。謝った効果があったのかもしれない

▼ストーカー行為はストーカー規制法で懲役、罰金などが定められた刑法犯。こちらは書類送検されたか、内部の懲戒処分で済ませたのか。説明はない。ストーカー行為への対応の不備で女性2人を殺害させてしまって再発防止を誓ったはずの県警である。内部にストーカーをだし、もっと危機感を見せてもいい

▼女性が警察に相談したのが4月中旬。内容はむろんストーカー行為だろうし、元巡査が4月下旬から病気休暇を取ったことと無縁ではなかろうが、処分対象のストーカー行為は7月3―9日。携帯電話を盗んだとされるのは6月28日

▼「被害者の方に大変申し訳ない」の謝罪に「ごめんで済むなら」と言いたくもなる。