2018年8月14日(火)

▼ヤフーの検索システムで、その日のニュースの8件のうち7日目の甲子園結果を伝える1件が「白山“日本一の下克上”ならず」だった。ネーミングがよかったか、野球を学校経営に活用する名門ぞろいの出場校の中で、過疎の町の中の万年定員割れ校で生徒300人のごく普通の小規模公立校が強豪に挑戦していく姿が日本人の琴線に触れたか、当日は夜間まで、ツイッターのつぶやき数も「白山高校」が1位。「感動した」などが飛び交った

▼試合は0―10の完敗だが、東拓司監督や辻宏樹主将が語った「相手が一枚も二枚も上手」という気はしなかった。最後の一打者まで球場全体が声援を送ったのは、単に判官びいきというだけではなく、十分勝負の醍醐味を、高校野球の原点を見せてくれたという感謝があったのではないか

▼対照的な試合だった。愛工大名電は体格からして白山高とは中学生と高校生くらいの差で、場面場面できちんとその役割をしてのける堅実な野球だった。対する白山は一人一人が思い思いに持ち味を発散させている感じだ。自由にプレーしながらチームとしてのまとまりを築き上げている。初回の三失点がなければ、どうなるか分からぬ試合だった。何かをしてくれる、そんな期待を最後まで持たせてくれた

▼「見晴らすみどり爽やかに、布引の空紺碧に」の校歌を聞きながら、自然が誇りの半面、自然しか誇れるものがないかのようで苦笑したが、明日からは周囲の見る目も一変するのではないか。最前列で応援していた廣田恵子教育長の口は動いていなかった。明日は校歌も覚えていよう。