2018年7月31日(火)

▼伊勢市周辺に上陸のテレビアナウンスを29日午前1時、窓をたたき家を揺する風雨が一段と強まったのを感じながら、津市郊外の自宅で聞いた。津市災害対策本部からエリアメールが届いたのは同2時50分。土砂災害の恐れとして市美杉村太郎生地区に高齢者等の避難開始を5分前に発令したことを伝えていた

▼名張市との合併が検討された地区だ。行政の谷間を住民が意識しているということだろう。上陸から2時間弱後の発令は、いよいよ土砂災害の危機が迫ったということか。東から西という観測史上初の進路が、この地区への被害を最大にしそうなことが分かったということか

▼避難場所の土地勘はないが、未明の避難は高齢者に二次災害をもたらさぬか。むろん対策を踏まえた上での発令かが頭をよぎった。台風12号は人的被害は軽傷者3人だけだったが、経済的には大きな爪痕を残した。停電も午前3時現在で9万6千戸。午後7時現在1200戸を残す。送電線はループ状に設計され故障箇所を迂回して電気を送る、瞬時の復旧も可能にする仕組みだと聞かされた。あざ笑うかのような自然の猛威である

▼津市中心部で消えている信号交差点を通過し冷や汗を流した。壊滅的被害を回避するための分散制御が正常と故障の信号機をわずか数百メートルの距離で混在させたのか。人間の知恵をあざ笑っているかのようでもある。数十メートル差で警報が鳴りやまぬJRの踏み切りも。こちらは整備の問題か

▼防災関連企業のビルのタイルがごっそりはがれ、歩道に散乱していた。県の各種防災計画も見直しを急ぐ時節である。