2018年7月16日(月)

▼第100回全国高校野球選手権記念三重大会で、春のセンバツベスト4の三重高が初戦でノーシードの松阪商に敗れた。センバツ直後も苦杯をなめているから、松阪商の勝利がフロックとは言えないが、サッカーなど他の球技に比べて、野球は番狂わせの起きやすいスポーツの気がする▼アメリカンフットボールなどとともに米国生まれなことと無縁ではあるまい。連続したゲームの流れの中で攻守が入り乱れるのと違って、野球やアメフトは攻める側と守る側が入れ替わる仕組みだ。コールドゲームはあるが、どんなに実力が上の相手と対戦しても攻める順番は必ず訪れる。守りだけで終わってしまうということはない▼いつ果てるともなき攻撃にさらされ防戦一方になっても、三人アウトにすれば攻撃だけに専念できる時間が与えられる。勝っていればよーし自分も一発、負けていれば何とか一矢報いてやる、せめて一泡など、気分転換しやすい。結果的に相手を動揺させるなどして、ゲームの流れを主導、あるいは切り替えることがルールとして保障されているのだ▼選手交代が比較的自由なのも野球の特徴だろう。人数に制限はない。救援、代打、代走、守備など、選手はそれぞれの持ち味を生かせるとともに、それが武器となって多彩な攻撃、守りが可能になる▼スコアの2―5ほどの差が松商と三重高との間にあるかも、サッカーなどに比べて言い切れぬのではないか。「気持ちを全面に押し出すことができなかった」と、敗因を小島紳・三重高監督。先行された焦りから気分転換できなかったということだろう。