2018年7月15日(日)

▼北川正恭氏が衆議院議員だったころ、県庁の記者室にふらりと訪れたことがある。メニエール病の退院報告だったが、政治家にとって健康不安は致命傷になりかねない。隠密の入院で失踪説、再起不能説が飛び交ったらしい。「よみがえる北川正恭ですよ」とアピールしたが、知事就任後も硬い表情を見るたび病歴が頭をよぎった

▼日本医師会などが、マイナンバーに医療情報を入れるかどうかで国に申し入れている。プライバシー性の高い個人情報を守秘義務のない業者らが扱うマイナンバーに含めるべきではないという趣旨。その守秘義務のある県職員がいとも手軽に健康診断情報を扱っていたことが、県職員全4500人分の流出で明らかになった

▼20代女性職員が職員の健康状況をまとめるためUSBメモリーにコピーし持ち帰っていた。内規は持ち出しに上司の許可が必要だが、取得してはいなかった。内規は有名無実だったということだろう

▼防災対策、健康福祉部を除き時間外が減ってきた、というのが県と県職員労働組合でつくる中央労使協働委員会での昨年の共通認識だった。が、自宅に仕事を持ち帰っているのなら民間の模範になるとする県の働き方改革、ワーク・ライフ・マネジメント(WLM)も絵空事に見えてくる

▼職員、特に課長補佐、主査級の意欲の低下が問題になっていたのも昨年12月の同委。時間外の多い防災対策部のモチベーションは高いという。「『まずい』と思った時には(時間外数が)手遅れ」とも。どう押さえ込むかが職員の意識の低下へとつながっているのかもしれない。