高校野球100回目の夏<下> 白山、5年で大所帯に 部員増、地域応援が後押し 三重

【紅白戦を終えて互いにあいさつする白山高野球部員ら。豊かな緑に囲まれたグラウンドに元気な声が響いた=津市白山町で】

少子化、部活動の多様化などで高校野球の人口が全国的に減少している。野球部員確保に苦しむ学校も多く、13日開幕の第100回全国高校野球選手権三重大会でも61チーム中の2チームが合同チームでの参加となった。その一方、右肩上がりで部員を増やしている学校もある。

「取り返せ―」「普段通りやるぞー」。青山高原のふもとの静かなグラウンドで白山高校野球部員たちの声が響く。三重大会開幕を控えた紅白戦も佳境に入ってきた。選手を見守る東拓司監督が「5年前は部員が5人。こうして紅白戦ができることが幸せ」と話した。

この春部員は50人を超えた。県内でも屈指の大所帯だ。もともと白山・美杉地域をはじめとする地元市町からの通学生が多かったが、現在は四日市市から鳥羽市、大紀町など県内全域から集まる。部員らは最寄りの名松線だけでなく、学校から自転車で約30分かかる近鉄線の駅を利用して練習時間を確保している。

今年入学生の部活動加入率は8割を超えたが、同監督が赴任した2013年当時は1割だった。久居高、大阪体育大と野球部で、大学時代は外野手で明治神宮大会に出場を果たすなどスポーツに打ち込んできただけに、放課後静まりかえる校内の雰囲気に耐えられなかった。

当時の部員らと草抜きなどグラウンド整備に取り組む一方で「うまい下手関係ない。とにかく野球好きな子に来てほしい」と声をかけて回った。一定の人数が集まると練習試合に出かけた。「子どもたちが対戦相手を見て何かを感じてくれればそれで良い」。3年目には年間試合数は200試合を超えた。

1年生19人が一挙入部した16年。約30年ぶり地区予選を突破して秋の県大会に出場した。初戦も勝って夏の甲子園ベスト16のいなべ総合に2回戦で1―6で負けた。選手らの悔しげな表情に手応えを感じ、県内外強豪校との練習試合を増やした。翌年秋の県大会はベスト8に進出した。

応援してくれる職員、OBが年々増えた。下校中に部員に声をかける地域の人も出てきた。部員の意識も変わった。3年生主戦の山本朔矢君は「期待しとるぞと言われるとうれしい。もっと頑張ろうと思う」。主将の辻宏樹君は「校内を野球部が盛り上げよう」と部員らに学校活動への積極的な参加を呼びかけている。

過去99回の三重大会での最高成績は39年前のベスト8。シード校の壁は厚いが東監督は「この場所から絶対甲子園に行きたい」と話す。入試制度の一部変更で来年から一定の条件下で県外からの生徒受け入れも可能となった。「自分たち以上に下の学年は上を狙う力がある」と話す辻主将は「野球で地域も盛り上げていければ」。これからの100年で創部初の甲子園出場を夢見る。(連載おわり)