2018年7月10日(火)

▼4年前の集中豪雨に伴う土砂災害で77人の犠牲者を出した広島県広島市に隣接する東広島市の職員が、西日本豪雨で「まさか自分の街に特別警報が出るなんて」と言ったというのには驚かされた

▼5分後に全域に避難指示を出したが、防災無線はなく、地元FMラジオ局による放送と、登録者だけに届く防災メール、ホームページだけで、犠牲者や安否不明者に伝わっていたかは分からないという。「驚くほど風化が早い」と嘆いたのは東日本大震災から2年ほど後の県防災対策部長。県民意識についてだったが、市職員もそうだということか

▼県にも甚大な被害を出した紀伊半島豪雨の教訓から「数十年に一度」を基準に制定された特別警戒だが「自分に危険が迫っていることにつながらないのでは」と石垣泰彦関西大教授が話している。県でも避難命令に従った市民の割合は低い。9人の死者・不明者を出した平成16年豪雨で、犠牲になった大台町の女性は孫娘の避難の呼びかけに嫁いで40余年「これ以上の雨もあった」と動じなかった

▼その40年余でバス1台が通れた山道が2車線に整備された。救助活動をした消防団員は「新しく土砂整備した箇所が軒並流されていた」。異常気象や土地の保水量などだけでなく、知らぬ間に危険地域の中に孤立させられているケースは少なくない

▼先に我が家に市から「ため池ハザードマップ」が届いた。近くのため池の構造と決壊した場合の時間別被害区域、避難箇所が一目で分かる。市民がどうな地域に住んでいるか、最新情報をきちんと知らせておくことは重要だ。