2018年5月23日(水)

▼国籍や性の自認など多様性を認め合うダイバーシティ社会を目指すトークイベントで、コーディネーターを務めた鈴木英敬知事の発言が記事になかったのが寂しかった

▼冗舌な知事が何も語らなかったはずはなかろうが、特段取り上げるほどのものはなかったか。前半の「県の取組」の説明で十分話したから、トークは聞き役に徹したか。多少、臆する気もあったかもしれない

▼在日韓国人三世の伊賀市出身の映画監督呉美保氏が「伊賀は韓国人が多くないが、それを理由にいじめを受けたことも、嫌な思いをしたこともない」。伊賀は韓国、北朝鮮出身者同士が仲のよいことでも知られる。民団と朝鮮総連の支部同士がかつて統合寸前までいったこともあるが、知事は北朝鮮のミサイル発射や朝鮮総連との関係を理由の一つに朝鮮学校への補助金ストップを強く推進した。ばつが悪くなかろうはずはあるまい

▼伊賀市が同性カップルに対し「パートナー」証明書交付に踏み切った時も知事は冷ややかだった。「総論賛成というか、大事なことだと思っているが、伊賀市さんのはどうですかね。(条例でなく)規則か要綱かでやっておられる。申請はしてみたけども実は、ということがないように。別に何か弊害があったとかは聞いてませんが」

▼県の「ダイバーシティみえ推進方針」も、性的少数者について特に触れていたり、施策をあげているわけではない。「ダイバーシティの風を三重から起こしましょう」と、呼びかけているだけ

▼言動は「慎重に、慎重に」と語ってもいた。口数は本当に少なかったのかも知れない。