大観小観 2018年4月30日(月)

▼地図、時刻マニアは、それらの中で世界を旅するという。本紙の叙勲『喜びの声』を見るのが好きなのは、それに似ているかもしれない。何気ない一言をのぞき穴に見知らぬ人生の一端を体験したかの感覚にひたる

▼瑞宝中綬章の前副知事、石垣英一氏の冒頭「職員時代は順風満帆ではありませんでした」は、それとはちょっと違うかもしれない。通常なら次の「皆さんのおかげ」が先だろう。手順前後を見る思いがした

▼農水商工部長を最後に県を退職して県産業支援センターに天下りした時は思いもしなかった四日市港管理組合副管理職のポストが国の事情などで急きょ回ってきた。鈴木県政誕生で外郭団体からの抜てきという異例の人事で副知事となった。「えっ、順風満帆でない?」と、目をむく県職OBもいるだろうが、別の場所では「ダッチロール人生」とも言っている

▼〝黒船襲来〟と言われて北川県政が誕生した時の秘書課調整監。〝虎の威を借りるキツネ〟の役割となったことがさまざまな憎しみやうわさを招き、中枢から遠ざけられたことが、何よりも深く心に刻まれることになったのかもしれない

▼遠ざけられた先が県産業支援振興センターで、天下り先が同センター理事長。そこでシドニー港と交流を深めたことで、姉妹港四日市港の副管理者に。副知事を経て今、同センター会長。ダッチロール(迷走)というより縁は異なもの味なものという気がするが、三重がもっと元気になれるようチャレンジを続けたい」という石垣氏。叙勲や人生回顧など、枯淡の心境にはまだまだということに違いない。