2018年4月29日(日)

▼スマートフォンの無料通信アプリ「LINE」に、県がいじめの相談窓口「子どもLINE相談みえ」を開設するに伴い、情報漏えいの危険を問われて、鈴木英敬知事は「委託業者の管理は徹底している。我々もしっかり注視していく」。どう注視できるのか、何だか笑えてくる

▼子どもらが使い慣れ、匿名性の高いSNS(交流サイト)でいじめを早期発見するの趣旨はよしだが対象は中高生。いじめ件数で倍以上の小学生を外すのは「スマホ所持を奨励するような形になっても良くない」(知事)。負の側面もしっかり注視しているということか

▼警察庁によると、昨年の子どものSNS被害は最多の1800件強。中学生の増加が目立つが、最年少は8歳。小学6年生も跳ね上がっている。子どもを狙う犯罪の主戦場は今やSNS。いじめ相談窓口も、知事の論理によると、危険なSNSに子どもらを近づける形にはなる

▼SNS被害で最も多いのはツイッターで、続いて学生限定の「ひま部」、LINEと続く。一昨年はLINEが2位。被害の九割にフィルタリングがなく、学校の指導は「受けたことはない」「わからない、覚えていない」が5割弱

▼負の側面は小学生除外だけではない。奈良県が独自で開設したら相談件数が少なく、匿名性が課題としたのが業者委託の理由とか。奈良は学校ネットパトロールの先進県。県が業者に丸投げし、九州の学校の件数を同名の伊賀の学校にカウントされても気づかず発表するなど、まるで厚労省みたいなことはしていまい

▼懲りずに業者任せにする安易さが今一つ心もとない。