消える石灯籠、伊勢に60年 存続望む声も命優先 三重

【死亡事故を受け、7月の高校総体までに全て撤去する方針が決まった県道沿い】

【伊勢】約60年にわたって伊勢市の街並みに彩りを添えてきた石灯籠が消える。県道沿いで起きた石灯籠上部の落下死亡事故を受けた26日の国、県、市の三者会議で全撤去の方針が決まった。市民には存続を望む声もあったが、行政は「人の命には代えられない」と判断した。

三重県によると、民間団体の「伊勢三宮奉賛献灯会」が昭和30年に寄付を募り、石灯籠を建立。献灯会が道路の占有許可を更新しなかったため、32年からは不法占有状態が続いている。39年には献灯会が解散。灯籠は老朽化が進み、災害時には倒壊の恐れがある。そのため、国、県、市は平成25年から安全点検を実施していた。

石灯籠を危険視する向きがある一方、伊勢市民の中には「風情がある」などの理由で現状維持を望む声もあった。市が平成18年に実施した市民アンケートでは「あった方が良い」が約61%を占めた。市によると、約30年前には撤去反対を求める運動もあったという。

全撤去の方針が決まったのは、国や県、市がこれまで進めてきた石灯籠の点検では安全性の担保ができないからだ。県道路管理課の上村告課長は「点検で安全性を確認しても今回の事故のように外部から衝撃が加われば倒壊する恐れが残る。二度と死亡事故を起こさないよう灯籠は全て撤去しなければならない」と強調した。