生活保護廃止で賠償命令 四日市市に5万5000円 男性訴え 三重

不当に生活保護廃止処分を受けて精神的苦痛を受けたとして、三重県四日市市に住む男性(65)が同市を相手取り、330万円の損害賠償を求めた裁判で、津地裁(岡田治裁判長)は15日、男性の訴えを一部認め、市に5万5千円の支払いを命じる判決を言い渡した。

判決によると、男性は平成26年8月に同市に生活保護を申請し、受給を認められた。男性は同市内の簡易宿泊所で生活しながら仕事を探していたが、市は「就労意欲がなく求職活動が不十分であり、就労指導や指示に従わなかった」などとして、28年3月に保護の廃止を決定した。

男性側の代理人は、支援担当者が求職状況を把握せず、男性への指導通知も不十分だったとして、津地裁に処分取り消しと執行停止を申し立て、市は同年4月に処分を取り消した。

訴状では、男性が当時糖尿病に罹患していたことから市の指示に従うことは困難であることから処分は違法であり、市側に裁量権の逸脱や適正手続き違反などがあったと主張していた。

岡田裁判官は判決理由で、「糖尿病の罹患により就労困難な時期は存在するが当時は軽労働が可能な程度の健康状態だった」などと処分の違法性は否定。

一方で、宿泊施設を退去させられ、唯一の収入源を絶たれるなど廃止は不利益の大きい処分だった強調。原告の稼働能力に照らして指示違反の程度を勘案し、保護を停止して指導を継続するなど不利益の小さい処分を検討するといった義務を怠り、処分理由の提示にも不備があったと指摘。裁量権の逸脱・濫用や職務上の注意義務違反を認定した。

男性側の代理人は「市の処分が大きな不利益を伴うもので損害を受けたことを認定されたのは評価できるが金額は低すぎる。今後については原告と話し合い検討したい」と話した。四日市市保護課の担当者は「判決文を精査して今後の対応を検討したい」とした。