伊勢市総合計画 「郷土愛」記述巡り 市と審議会が対立 三重

伊勢市役所

【伊勢】三重県伊勢市が取り組む事業や政策の方向性を示す「市総合計画」の記述を巡り、市が審議会の主張を退け独自の案を作成し、市民への意見公募(パブリックコメント)を実施することが分かった。市長への答申を前に、市が審議会の案を反映させないのは異例。審議会が総合計画の教育分野に郷土愛を盛り込んだのに市教委が反発し、対立が続いていた。審議会の主張は計画案とは別に意見公募に添付する。

議論が紛糾しているのは教育の章。審議会は「学校教育の取り組み方針」の冒頭に「郷土を愛し」の一節を加えた。政府の教育再生実行会議が、小中学校では郷土の歴史や文化を教え、地域への理解や愛着、誇りを育む重要性を提言していることなどが主な理由だ。

これに対し、市教委は方針に改めて盛り込む必要はないと判断し、審議会の主張を退けた。審議会には、市教委の主張に同調する委員も一部いる。

また、審議会は伝統文化の保存継承の対象として「伊勢神宮関係の行事など」と具体化することも決めた。だが、市は「伊勢神宮に特化する必要はない」として、計画案では削除した。教育基本法の宗教的中立を理由に、教育面では距離を置いているのが背景と見られる。

総合計画は市政運営の基本方針を示す市の最上位計画。現在、審議会で案が練られているのは平成30年度からの4年間の計画で、教育・環境・医療・防災など全8章で構成する。計画案の作成を巡っては、審議会と市のどちらに作成する権限があるかについても意見が対立しまとまらなかった。

審議会の会長を務める皇學館大学現代日本社会学部の新田均教授は、計画案が退けられたことについて「非常に残念。審議会が出した案をどうするかは市長に権限があるが、どんな案を出すかは我々にまかせてもらえないと、外部から人を招いた意味がない」と話している。

市は計画案を3月定例会に報告した上で、来月2日から約1カ月間、意見公募する。