伊勢市 観光案内所に設置予定の多目的室 ムスリム礼拝所には使用せず 苦情殺到で方針転換 三重

【伊勢】三重県伊勢市は8日、同市宇治浦田の観光案内所に平成31年度中に設置する予定の多目的室について、当初の方針を変更し、ムスリムの礼拝所としては使わない考えを発表した。先月下旬の新聞報道後、電話やメールなどで約百件の苦情や問い合わせがあったことを受け、方針を撤回した。伊勢神宮など市内の他機関にも問い合わせがあり「市民に迷惑を掛けられない」と判断。多目的室は予定通り設置し、授乳室などとして使う。

市によると、多目的室は約3メートル四方で礼拝用のマットやメッカの方角を示す標識などを置く予定だった。一方、国内の観光地では公共施設も含め、多目的室や会議室をムスリムの礼拝所として開放する施設が増えている。伊勢市内には民間も含め、ムスリムの礼拝所がないという。

だが、先月22日の新聞報道後、「公共施設に特定の宗教の礼拝所を設けることは政教分離違反の疑いがある」、「伊勢神宮の近くに設置する必要があるのか」などの意見が多く寄せられた。取り組みはインターネット上で物議を醸しながら拡散され、中には「伊勢市がモスク(礼拝施設)を建てようとしている」などの書き込みがあり、誤った書き込みを読んで誤解したまま電話を掛けてくる人もいたという。

市産業観光部の須崎充博理事は「予想外の反応だった。市民に迷惑を掛けては本末転倒なので計画を見直す」と話している。礼拝所は民間施設などで代替地がないかなどを検討し、予定通り31年度中の設置を目指す。