2018年3月5日(月)

▼5歳の男児が津市河芸町上野の伊勢鉄道線路で、同線路を走るJR快速みえにはねられ死亡した。近くの公園で両親と遊んでいたはずが、誤って紛れ込んだらしい。胸が痛くなる

▼母の弟が旧国鉄勤務で、大きな操車場近くの官舎だったから、物心つく頃にはいとこらと線路で遊んでいた。ボタ山を結ぶトロッコにも大人の目を盗んで乗るなど、線路は身近な存在で、隣駅まで線路を歩くことも珍しくなかった

▼「線路で遊んではダメだよ」と親や叔父、叔母は口をすっぱくして言った。その後ろめたさが悪童たちを線路に引き寄せ、大人に見つからないよう気をつけた。そのころよくやったのは、クギやブリキを線路の上に置くこと。列車の通過でぺたんこになるのが面白かった

▼「線路に物を置いてはダメ」ともよく言われたが、あの巨大な機関車がクギでどうかなるなどは思えなかった。しかし、石を置いた時は年上の子から「石はダメだ。危ない」と言われ、どけられた。大人から子どもまで、それぞれ線路で遊ぶ実践的ルールがあり、守られていた気がする

▼時移り、車社会。最近の親は子に車の怖さを口を酸っぱくして教えているに違いない。「道路で遊んではダメ」と。線路で遊ぶ、線路に興味を持つなどは考えてもみないことではないか。実際、駅や踏み切り以外から線路に入るの難しくなった。近鉄は全線にわたり柵などで遮られている。昔と変わらず入れるのはわずかな盛り土の上を走る伊勢鉄道沿線くらい

▼簡単に迷い込んでしまった別世界で5歳児は何を見たか。哀れと、憤りを感じずにいられない。