<検証・三重県予算>財源不足の対応 2つの禁じ手で編成

【記者会見で平成30年度当初予算案を発表した鈴木知事=2月14日、三重県庁で】

財源不足に悩む三重県は、平成30年度当初予算案の編成に当たって「二つの禁じ手」を使った。一つは企業庁からの借入金について、15億円を予定していた30年度分の返済を1億円にとどめたこと。もう一つは県債管理基金への積み立てを見送ったことだ。

県は28年度当初予算の編成で財源不足を埋めるため、企業庁の電気事業会計と水道事業会計から55億円を借りた。翌年度から分割して返済し、33年度には完済する予定だったが、今回の先送りで事実上は返済計画が頓挫したこととなる。

この借り入れ、当初から問題があった。そもそも電気、水道の両事業会計は、県の一般会計とは別の「特別会計」。貸し付けるだけの余力があるなら、水道料金を引き下げたり、安定供給に向けて取り組んだりする費用に充てるのが本来の使い道だ。

県債管理基金の積み立てを見送ったことも異例の対応だった。積み立ては県債の安定的な返済が目的だが、県債の発行が続いているため、積み立てなければならない金額は増大。22年度分の積み立ては6億円程度で済んだが、30年度分は60億円に上った。

積み立てに明確なルールはないというが、総務省は計画的に積み立てるよう自治体に通知を出している。同省財務調査課の担当者は「安定的な財政運営の観点からすれば、いつ積み立てるのかという計画をしっかりと立てなければならない」と指摘する。

これらの〝禁じ手〟は将来に負担を先送りしたことを意味する。県も「違法性はない」としつつ、問題だとは認識しているようだ。「総務省から指導を受ける覚悟で臨んだ」と財政課。鈴木英敬知事も記者会見で「批判や指摘は重く受け止める」と述べた。

先送りした分は、いつ穴埋めできるのか。県は企業庁へに完済する時期を予定より3年ほど遅らせる方向で、契約内容を変更するという。県債管理基金への積み立ては穴埋めの時期が定まっていないどころか、新たに先送りする可能性も「ゼロではない」という。

「極めて厳しい」とされる県財政は、いつ健全化するのか。県は借金の返済に充てる公債費が4年後にピークを迎えることや、職員の多くが8年後に定年退職することなどから「平成30年代の後半ごろに財政難が落ち着くのでは」とみている。

一方、健全化の時期や目標を具体的に明記したものは見当たらない。財政難の解消を目的に県が定めた「県財政の健全化に向けた集中取組」も、対象としている期間は29年度からの3年間だけ。その後の計画は「検討中」(行財政改革推進課)という。

予算発表の記者会見で「時機を逸してはならないものがたくさんある」と強調した鈴木知事。「財政難はいつ解消できるか」と問われると、こう答えた。「いろんな要素が絡んでいるので明確には申し上げられない。とにかく努力するしかない」。