2018年2月16日(金)

▼鈴木英敬知事の2期目最終年度だというのに、県の新年度一般会計当初予算案は2年連続の前年度比減。それも異例という文字が飛び交う緊縮予算。心も折れようというものだが、新聞で見る英敬スマイルは健在。夢も希望もないないずくしを逆手にとるかのように「安心なくして希望なし予算」と命名した

▼第2次石油危機(昭和54年)後の景気動向を読み誤り、法人2税の落ち込みで歳入不足に陥ったことがある。「生きた心地がしなかったが、知事は平然として動じる様子がない。どんな神経をしているのか」と当時の財政担当者。鈴木知事も大知事の風格が出てきた

▼もっとも、本紙命名は「ツケ払い予算」。散々飲み食いして、支払いになったら「ツケといて」というわけ。風格というより厚かましさが強調されているようだが、両者はもともと紙一重なのかもしれない。何しろすぐにも返すみたいに大見えを切って企業庁から借りた55億円の新年度返却分15億円を、ない袖は振れぬと1億円しか返さないのだから

▼県債返済用の積立金60億円も先送りし、いつ積み立てることになるか、はっきりしないという。前年度限りのはずの特別職、管理職の給与一部召し上げを継続したのは「ツケ不払い」と言えようか。奇手、鬼手の連発で知事は「財源不足で『生み』の苦しみ」。財政均衡の原則「入りを量りて出ずるをなす」などできないに違いない

▼「子どもたちの未来に向けた取り組みやスポーツに重点配分し災害対策を充実」(知事)。問題は、わずかな重点からこぼれたその他大勢の行方である。