三重県の新年度当初予算案 一般会計6968億円、2年連続減 返済先送り異例の対応

【三重県の30年度当初予算案】

三重県は14日、平成30年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比約0・9%減の約6968億円で、2年連続の減少。「極めて深刻」(財政課)とされる財政状況を受け、県債の返済に向けた積み立てや企業庁への返済を先送りする異例の対応で編成した。一方、7月に県内で開幕するインターハイや災害対策を目的とした公共事業には重点的に配分。鈴木英敬知事は「安心なくして希望なし予算」と命名した。19日の県議会2月定例月会議本会議に提出する。

特別会計を含めると15・7%増の1兆918億円。初めて1兆円を超えた。満期の県債を借り直す借換債を除いた実質的な比較でも16・9%の増加。国民健康保険事業を特別会計に加えたことが影響した。

インターハイ関連では、開会式の経費などに6億1千万円を計上。伊勢志摩サミットの成果を広げる「ポストサミット」には5億8千万円を充てる。いじめの防止や働き方改革の新たな事業も立ち上げる。

鈴木知事の肝いりとされる事業は、後継者不足に悩む経営者を支援する「事業承継」の立ち上げや「子ども基金」の創設など。事業承継は支援機関向けの研修や成功事例の発信などに1400万円を計上した。

子ども基金は法人県民税の超過課税分を原資に創設する。30年度予算では、子どもの貧困対策や児童虐待防止、保育士の職場復帰や男性の育児参画など、14の事業に計1億4千万円を充てる。

県内が大きな被害を受けた台風21・22号の復旧費には40億円を計上。防災減災対策では、河川改修や土砂災害防止といった施設整備のほか、台風で浸水した地域に水位計を増設するなど202億円を充てる。

財政難への対応として、29年度と同じく補助金や事務事業を大幅に見直した。「シーリング」と呼ばれる政策的経費の対前年比は80%と設定し、各部局の予算要求を大きく絞り込んだ。

ただ、それでも約80億円の財源が不足したため、県は28年度に企業庁から借り入れた55億円のうち30年度予算では15億円を返済する予定だったが、1億円しか返済することができなかった。

県債の返済に充てる県債管理基金に60億円を積み立てる予定だったが、財源難を理由に初めて見送った。毎年度に一定額を積み立てる計画のため、30年度分の積立金は37年度ごろに負担するという。

鈴木知事は14日の記者会見で「子どもたちの未来に向けた取り組みやスポーツに重点配分した。災害対策を充実させるなど、三重で安心に暮らせることにも注力した予算とした」と述べた。

一方で「財政状況は厳しく、財源不足で『生み』の苦しみもあった」と説明。県債管理基金への積み立てや企業庁への返済の一部を見送ったことには「苦渋の判断。批判や指摘は重く受け止める」と述べた。
 
■ツケ払い予算■
厳しい財政状況で編成された県の平成30年度当初予算案。鈴木英敬知事は「安心なくして希望なし予算」と銘打ったが、予算編成の過程から見れば「ツケ払い予算」とでも言うべきだろうか。

県は県債の返済に向けた基金への積み立てを見送るという「異例の対応」(財政課)で予算を工面した。子ども基金の創設など将来世代への投資に懸命だが、同時に将来の負担を増やしたことになる。

ここ数年で「異例の対応」は常態化している。29年度は環境保全基金を一般会計に繰り出し、28年度では企業庁から55億円を借りた。いずれも目的外の流用で、県は「今回限り」と説明していた。

社会保障関連の費用や借金の返済に当たる公債費の負担が増加傾向にあり、財政は深刻さを増す見通しだ。そんな中で予算編成のたびに異例の対応が登場する現状では、財政難への不安は尽きない。

職員らは口々に「財政難でも今やるべきことがある」と説明するが、それほど必要なら職員が自らの給料で負担すればどうか。それぐらいの覚悟がなければ健全な財政は実現しそうにない。