2018年1月20日(土)

▼三重県議会障がい者差別解消条例策定調査特別委員会の正副委員長案審議は血が通い、肉が付いてくる思いがある。新政みえが「高次脳機能障害や難病(による障害)」を、自民党が「難病」を、それぞれ「障がい者」の定義に追加することを求めた

▼障害者総合支援法で平成25年から障害者に「難病」が加わり、障害者と患者との垣根が一部取り除かれた。対象疾患は同27年、同29年と拡大された。難病の追加は国の流れに沿うが、高次脳機能障害となるとどうか

▼脳の損傷によって起こされるさまざまな障害を指す行政用語が高次脳機能障害だが、病理学的には脳血管障害、すなわち脳出血と脳梗塞に二分される。この患者が、18年の小泉改革の診療報酬改定でどうなったかは、同13年に脳梗塞で倒れて奇跡の生還をした免疫学者、故多田富雄の著書に詳しい

▼わずかな回復に希望をもってリハビリテーションに取り組んでいた多田は、上限180日で打ち切りの改定で病院を追い出されることなり「死ねと言うも同じこと」と悲痛な叫びをあげる。回復はわずかでも、少しでも怠ると身体機能はたちまち衰弱し、死を待つ以外にない

▼治療から閉め出された患者は「リハビリ難民」となる。介護保険のデイサービスは認知症予防で、医師、療法士の処方とは全く異なる。「この非人間的暴挙」と告発した事情は今、むしろ悪くなりつつある。条例はリハビリを介護保険に追いやろうとする国の手助けをするのか、医療と福祉とのはざまを埋める方向に働くのか

▼議論するとしたら特別委設置の意義は大きい。