「駅で落ちない落語」披露 全盲の桂福点さん 障害者への介助呼び掛け 三重

【落語を通じて視覚障害者への理解を呼び掛ける福点さん=三重県庁講堂で】

全盲の落語家で大阪市東淀川区在住の桂福点さん(49)が11日、三重県庁講堂で「駅で落ちない落語」を披露した。同じ盲学校出身の知人が誤ってホームから落ちて死亡した事故を受けて創作した落語。県職員や鉄道会社の職員ら、訪れた約130人を前に「目が見えていない状態で電車に乗っていることを分かってほしい」と述べ、視覚障害者への理解や介助を呼び掛けた。

福点さんは兵庫県川西市出身。中学生のころ、先天性緑内障で視力を失った。大学卒業後、上方落語の桂福団治さんに弟子入り。平成21年から現在の名前で活動しているほか、音楽をリハビリに生かす音楽療法士も務めている。

福点さんと交流のあった兵庫県宝塚市の近藤恒久さん=当時(40)=が28年10月、大阪府柏原市の近鉄大阪線河内国分駅でホームから転落し、特急電車にはねられて死亡した。福点さんは、この事故をきっかけに落語を創作した。

県は視覚障害者が列車にはねられる事故が全国で相次いでいることを受けて、福点さんに公演を依頼。毎年開いている「ユニバーサルデザインセミナー」として開いた。福点さんは先月も伊勢市内で落語を披露したという。

「駅で落ちない落語」は電車好きで目の不自由な男性が、線路に飛び込もうとする女性を説得するストーリー。「駅のホームより怖いのはマイホーム」などと会場を沸かせて「これ以上、落とすわけにはいきません」と締めくくった。

落語に先立つ講演では、点字ブロックとホームドアの整備や駅員の人数が十分でないことを指摘。「声を掛けてもらうだけでも違う」と述べ、協力を呼び掛けた。目隠しをした来場者が舞台上で白杖を手に歩く体験もあった。