2018年1月10日(水)

▼華やかなはずの米国映画賞の舞台がセクハラ被害の女性との連帯や抗議の意思表示で黒いドレスの女優で埋まった。男優も黒いタキシード、中にシャツも黒で支持を示したというから、怒れる女性陣にたじたじといったところか

▼大物映画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏が30年にわたり、若い女優らにセクハラどころか性的暴行を繰り返していた。五年前のアカデミー賞授賞式で、コメディアンが「助演女優賞にノミネートされたみなさん、おめでとう。もう彼にひかれているふりをしなくて済みますね」と笑いを取ったというから、異様な現実が自由世界の盟主の国でまかり通っていた

▼ケーブルニュース局の大物アンカーが数々のセクハラ訴訟に5千万ドルの示談金を支払っていたことが明らかになり、タイム誌が昨年の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」にセクハラ被害を証言する「沈黙を破った人たち」を選んだ。誤りをみんなで排除しようとする徹底ぶりも、島国日本にはないものだ

▼日本では、フリーのジャーナリストが元TBSワシントン局長を告発したが、警察は逮捕状を行使せず、検察、検察審査会は言い分を認めなかった。性犯罪に関わる刑法改正で、日弁連は性交と類似行為との量刑に差を求めるなど、男性社会を色濃く反映させた

▼有名ブロガーがネットで電通時代のセクハラ・パワハラを証言し、元上司の著名クリエーターが謝罪。共同代表の会社を辞職した。「お騒がせをして」ということらしい。社会的制裁を受けたということになるか。日本的、あまりに日本的な。