強盗致傷、懲役10年求刑 「悪質で被害結果重い」 津地裁・裁判員裁判

三重県名張市の住宅で2月、女性(38)が暴行を受けた後に車や現金などを奪われた強盗致傷事件で、強盗致傷と監禁致傷、住居侵入の罪に問われた名張市赤目町丈六、造園作業員小松靖典被告(59)の裁判員裁判論告求刑公判が5日、津地裁(田中伸一裁判長)であり、検察側は「悪質な犯行で被害結果は重い」として懲役10年を求刑した。判決は12日に言い渡される。

検察側は論告で、「靴下や腕で首を絞め、娘に危害を加えかねない脅迫をして金品を要求するなど強盗致傷の態様だけでも悪質で、監禁行為にまで及んだ。肉体的、精神的被害は非常に大きく財産的被害も重大」と指摘。同種事案を含む前科が3犯あり、服役後間もないことなどから「動機は極めて安易かつ身勝手で意思決定過程は強い非難に値する」と強調した。

弁護側は、「当初窃盗目的で留守宅に侵入したが女性と鉢合わせとなり、逃げようともみ合いになった。犯行発覚を防ぐために女性を車に監禁したが、人目につかない所で開放するつもりだった」と主張。仕事に使う車の車検代を払えないほどの生活苦が動機とし、情状酌量を求めた。

論告によると、小松被告は2月27日午前11時ごろ、名張市青蓮寺の住宅に窃盗目的で侵入し、帰宅で鉢合わせた女性を脅迫。靴下で首を絞め、両手を縛るなど暴行したうえ、女性の軽乗用車内に監禁して逃走。祝儀袋の現金など約11万円と軽乗用車1台(時価約30万円相当)、トートバッグなど約30点(時価合計約8万1400円)を奪い、逃げようと車から飛び降りた女性に左坐骨骨折など全治約1カ月の重傷を負わせたとしている。
 
 
■「人生めちゃくちゃ」 被害女性■
名張市の強盗監禁致傷事件の裁判員裁判では、小松被告に暴行被害などを受けた女性(38)が被害者参加制度を利用して意見を述べ、「人生をめちゃくちゃにされた」と憤りをぶつけた。

女性は「家に帰ると突然男に押さえ込まれてパニックになった。靴下で首を絞められて体を洗面台に打ち付けられ、生まれて初めての苦しさと恐怖を感じた」と被害当時を振り返った。

暴行中は娘の名前を出して脅迫されたという。「子どもの名前で脅すのは一番卑怯(ひきょう)。決して裕福でなく、亡き母からもらった祝い金も奪われ、マイホームを地獄の場にされた。人と会うことが恐怖となり、睡眠薬なしでは眠れなくなった」と声を震わせ、「私たちだけでなく家族や地域など巻き込んだ全ての人に一生掛けて償い、まっとうな道を歩んでほしい」と訴えた。

小松被告は最終意見陳述で田中裁判長から発言を許されると声を詰まらせながら、「できる形で弁済したい。社会に戻るころには残りの人生も少ないかもしれないが、道を外さず誰にも迷惑をかけない生活をしたい。本当にすいませんでした」と謝罪した。