2017年11月23日(木)

▼おや、いまごろ、というのが大方の県民の正直な感想なのではないか。越境入学を認める新方針を固めたばかりの県教委が、県内の通学区域外からでも入学できるよう、規則の見直しを検討するという

▼「越境入学と関連して議論すべき」と廣田恵子教育長。越境入学問題を受けて開かれたとはいえ、そんな当たり前のことを高校入学者選抜制度検討会が議論もせず方向を出したことに、名称が泣く気はする。県教委の指示・意向が反映される委員で半数以上を固めた検討会の限界かもしれない

▼越境入学を認める県教委の進め方について「結論ありき」と本紙は書いたが、検討会への諮問では野球を対象外として、県教委自身が追加の基準案を提示した。県内中学生との公平性については、教育委員らは検討会での議論を求めている

▼廣田教育長は、越境入学について県民に問うパブリックコメント(意見公募)に合わせて盛り込む考えを示したが、パブリックコメント後に最終の5回目の検討会を開くとしてきた方針を変更するということか。何の検討資料も提示せず県民に問うわけではあるまい

▼来年2月までにパブリックコメントをすることは「変えてしまうと受験生に影響が出ます。だからというわけではないけど、そこがぎりぎりの線だと思うので変えない」(廣田教育長)。スケジュールは決まっていると言っているようではある

▼「学校や地域の活性化を考える良い機会になった」とも言うものの、続出する想定外の問題を「ぎりぎりの線」に押し込めるため、進め方は、むしろ「泥縄」の様相を帯びてくる。