2017年9月10日(日)

▼公有財産である行政棟に空き室があるからと、県が「貸し事務所業」に乗り出したり、公用車に企業広告を貼って走り回る時代だ。鈴鹿市が公共財である電波をふるさと納税の返礼品にしてしまうのも、何でもありの時代の流れを象徴する現象かもしれない

▼一昨年、二日間番組が放送できない事故を起こし、市議会で赤字体質が議論になった第三セクター、コミュニティFM局「鈴鹿ヴォイスFM」で自分の番組を放送できる「ラジオ番組が持てる権利」が取得できる。浮世の沙汰も金次第だが、放送内容は自由というから、政治的公平や意見が対立している問題はできるだけ多くの角度から論点を明らかにするなど、放送法を巡って沸いた問題点は大丈夫か

▼「報道は事実をまげない」というのも放送法にあるが、ネットでは世界的に偽ニュースが拡散し、メディアにも浸透してきている。そんたくも含め、放送も言い換えや禁止用語が少なくないが、〝返礼品〟では「内容は自由」と公告している。チェックには神経を使うに違いない

▼テレビ局は下請けの製作が慣行となっていても編成権は局側が握っているようだが、〝返礼品〟の「持てる権利」とはどういう意味か。何かあった時に謝るなどの責任者は、市かFM会社か、ふるさと納税寄付金者か

▼市政策経営部総合政策課は「鈴鹿らしさもあり、市をPRできる商品。珍しい企画で期待している」。寄付した上に、PR番組も製作してくれると思い込んでいるようだから人のよさは認めるが、放送法や電波法、著作権法の勉強は、念入りにしておかねばなるまい。