2017年7月28日(金)

全国の知的障害者の家族を対象にした共同通信のアンケート調査で、回答304家族の7割近くが相模原殺傷事件後、障害者の環境が悪化したと感じていた。ネットでの中傷、施設職員への不信、精神障害者への偏見―などをあげている

▼今まで以上に世間のまなざしに対して敏感になったということもあるのだろう。犠牲者の家族は今なお、名前を出すことも発言も控えている。その中に、98歳で数年前死んだ母を見る

▼自閉症の弟の長男を、母は誕生の時から溺愛し、身近で面倒を見たが、冠婚葬祭に伴う親類の集まりに参加させることは決して許さなかった。弟の妻は、母の葬式に彼を出席させなかった。母の心は手に取るように分かる気がした。が、何も分かっていなかったのかも知れない。それでも犠牲者の家族の中に、母と重なる一面を見る気がする

▼格安航空会社が「歩けない人は飛行機に乗せられない」として、車いすの男性に腕の力でタラップを上らせて問題になった。公共交通機関で通えなければだめという県教委の障害者採用基準を思い出す。ネットでは事前連絡を怠ったなど、車いす男性への中傷も多く、障害者からの非難もあるという

▼ハンセン病元患者の宿泊拒否事件でも大量の中傷文が療養所に送られた。長島愛生園( 岡山県瀬戸内市)の県人会で見た。支離滅裂な文書が多い中で「税金で何不自由なく暮らしているのですから、人前に出てきてはいけません」というのが記憶に残る

▼税金を投じられていることが得をしていると感じる層が増えているという。衣食足りずということか。