2017年7月19日(火)

▼国と地方の公務員の定年延長への検討が始まった。県幹部OBを県外郭団体で処遇し、一定期間をクリアしてから県外局の特別職に採用するなど、県のポストを〝県庁一家〟で回す〝仕組み〟はいい加減やめてほしいが、再任用制度よりは高齢化時代にふさわしい気がする

▼定年を区切りに県職員の優秀な頭脳の有効活用が途絶えるのは県として損失だ。段階的に引き上げていくという。勧奨退職年齢の55歳から今の60歳定年に移行する時は毎年一歳ずつ引き上げて一年ごとに退職者ゼロになり、人事が硬直化した。あんな失敗はもうしまい

▼「今年の新採は、百五銀行の成績をかなり上回った」と昔、県人事課長が得意げに言うのを聞いたことがある。意識していたらしい。「勝ったり負けたりだよ」と笑った

▼「だそうですね」と百五銀行との懇親会で聞いたら、採用とは関わりない役員の一人が「県庁にはかなわんでしょう」と奥ゆかしいことを言う。「現に頭取も副頭取も、県が採用中止した時の入行組ですから」。県に採用試験があったらそちらに行っていたと言わんばかり

▼昭和50年の三重国体で天皇杯を目ざし、県は「国体枠」の職員を大量採用した。そのあおりで採用中止に追い込まれた年が出たようだ。頭取らの思いは知らぬが、県政を志す多くの若者の夢をつんだに違いない

▼「国体枠」という陰の呼称はその職員が退職するまで離れなかった。たかがスポーツ、されどスポーツではある。三重とこわか国体を四年後に控え、職員採用の「スポーツ枠」が今回も設定された。あんな〝失敗〟は―。