2017年5月31日(水)

▼「権力側を追及する以上、まず自分の脇を固めることが先。弱点を必ず突いてくる」という趣旨の発言をしたのは野中広務元自民党幹事長。秘書給与問題で議員辞職した辻元清美氏に対してだった

▼国家戦略特区で獣医学部を新設する計画に対し「総理の意向」などと記された文書が存在すると証言した文部科学省の前川喜平前事務次官について、読売新聞が出会い系バー通いなどと報道したのはともかく、菅義偉官房長官が「責任者の時に堂々と言うべき」と不快感を示した上で「当初は自ら辞める意向を全く示さず、地位に恋々としがみついていた」と、文科省天下り問題での奥の院のやり取りを暴露した

▼まさに活眼。追及する側も追及される側も体験した老練な野中元幹事長ならではと感心させられる。安倍晋三首相が、獣医学部設置は民主党政権下で「前向きに格上げ」などと答弁したのも、攻撃側の弱点を突く高度な戦術に違いない

▼岩盤規制に挑めば既得権益の抵抗は避けられない。「民主党政権も苦労されたと思うが、安倍政権は屈しない」とたたみかける。民主党政権は既得権益の抵抗に屈したみたいな話だが、岩盤規制を打ち砕く政権の不屈の方針で「腹心の友」が運営する学校だけが利益を得る形になろうとしている。仮に周囲に権力者へ迎合する「そんたく」がなかったとしても、最高権力者として顔から火が出る思いをしないか

▼相手の弱点を突くのに裏でマスコミを使ったりするのは昔からの常とう手段だが、表舞台では正面切っての論戦、国民に説明しているという気持ちを忘れてはなるまい。