2017年5月24日(水)

▼「開発を規制するものではないが、過度な開発への一定の抑止力となる」と、再生可能エネルギー発電設備の開発を抑制する新条例案について志摩市環境課。開発規制までは踏み込めなかったが、効果のほどには自信があるということなのだろう

▼再生可能エネルギー固定価格買取制度が始まった平成二十四年以降、同市でメガソーラーの建設は計画を含め三十四カ所約八十七万六千平方メートル。途方もない面積だが、県が環境影響評価が必要としている二十万平方メートル以上を下回る規模がほとんど。すれすれにしてまるで規制をかいくぐるためとしか思えない開発もあって、住民とのトラブルに発展している

▼里山や休耕地や住宅地など、ちょっとした空きスペースにあっという間にできあがってしまうのが太陽光発電用のパネルだ。高さも二メートル程度だから景観条例に基づく届け出も不要で沼地、ため池などにも進出。近隣住民と自然環境に大きな負荷をかけているが、温暖化対策に前のめりの国を思い、全国の出方を模様見し、県の動きは鈍い

▼平成三十二年度の導入目標が楽々達成しそうで、その四倍以上の四十二年度までの目標値を設定するとか。風力発電も日本有数の施設になることを競うかのように倍々ゲームのような大規模開発申請を許可。再生可能エネルギーは順調という。山林開発やバードストライクなど、順調の負の側面は気にならないらしい

▼伊勢志摩国立公園の優れた自然環境、景観の消失が懸念されている、と志摩市の新条例案。懸念されているのは名もなき里山や沼地、無名の人々の住宅地も、である。